2008年9月18日木曜日

白いスポーツ・コート

昨日は新宿「プーク」で『喰始のショービジネスの作り方』。
思えば「髭男爵」は何年も前からこの舞台で見ていた。
売れる気配さえなかった頃から、ということになるが、他の芸人集団とはちょっと色合いが違っていたのが、今になればよく判る。

今、この舞台で誰とも違っているのは「コラアゲンはいごうまん」で、昨日のテーマは「新潟刑務所慰問」。
全国ツァーの最中に訪れた新潟で取材も兼ねて刑務所の慰問に出向くことになった話だが、コラアゲン君の伝え方は非常にシンプルで的確になってきた。
「脳性麻痺」コントの実話には笑って泣いた(本当に「脳性麻痺」の人がふたり組コントをやっているのだ)。
終演後、劇場の外にいたら、客が「コラアゲンは上手いねぇ」「上手になったよねぇ。笑った笑った」と満足そうに帰って行った。
彼らもこの催しの常連さんなんだろう。
コラアゲン君の面白さはこの催しでは群を抜いている。
笑いの部分だけでなく泣かせにかかる部分への運びが実にスムーズで、妙なテクニックを感じさせない。客の感情の起伏を巧みに引き出すので、鈍感な人はまだ笑う話なのだと思って笑い続けているのだが、気づくと周りはもう泣いている、というような上手さなのだ。
観察眼に磨きがかかってきて、他人の話や動き方を聞き逃したり見逃したりしていない。

もうひと組「キャラメル・マシーン」という奇術のふたり組がいるのだが、彼らも毎回、客を湧かせている。
手品自体が見事なのもさることながら、助手の青年の、奇術には全く関係のない無駄な芸が、とにかく全部ピタリと決まって、客を飽きさせることがない。
上手い。コンビネーションも抜群で、コラアゲン君とキャラメル・マシーンのふた組だけで十分にお金を払った甲斐がある。

あとは見るだけ聞くだけ時間の無駄、みたいな個性の定まらない人たちが多いのだが、「西口プロレス」の「ジャイアント小馬場」さんと同じグループのオカマ漫才はキャラが確立している。
小馬場さんはちゃんと馬場さんに似ていて、そのくせ、妙にリズム感がよい、という変な人で、ネタさえシッカリしてくればもう少し笑えるかもしれない。
オカマ漫才は小汚くなっていないのがイイ。
ただ、オカマキャラを取っ払った時、面白いのかどうかが今ひとつ解らない。
手慣れているので笑いは十分に取れるのだが、このキャラ作りにはちょっと手垢がつきすぎているかもしれない。

芸の年数だけが売りになってしまった人や、結成から日が経っていないことや若いので許されると考えているような人まで玉石混淆なのだが、コラアゲン君とキャラメル・マシーンはそのどちらでもなく、毎回、新しさを感じさせてくれることにいつも感心している。
彼らは今日18日は仕事で出演しない。
褒めてもその芸を見てもらえないのが残念だが、どこかで見る機会があったら注目してやって下さい。

ちなみに劇団「ミノタケプラン」の『空飛ぶ隣人』は行ってみたら大入りでしたね。
初日、二日目は空席が目立ちます、というメールによる客引きが功を奏したかもしれない。

舞台はいつもの通り上出来で、石井君の世界を満喫。
なめらかな筋運び、こなれた会話にいつも感心するのだが、見る度、僕は舞台でしかできない、舞台でしか見られない物とは何なのか、と考えてしまう。
もしかしたら、その部分の驚きが足りないような気もするのだが、マンションからの宇宙飛行士誕生、その人のためにサプライズ・パーティを企画する住人たち。彼らには5年の理事免除の資格が与えられるという特権。でも、彼らは誰もその宇宙飛行士と顔見知りではない。ただ一人、彼を知る隣人はとんでもなく変わった奥さんで…、という設定の上手さに感心。
よくある日常風景の中で、一人一人の持つドラマが転がり始めるという手法は元々はテレビのモノだが、テレビがあまりに突飛な、あり得ないドラマ作りばかりし始めたので、むしろ新鮮に見えたりするのが妙。

マンションの理事をこの6月に終えたばかりの僕には笑えるツボが満載で驚喜してしまったが、不思議だねぇ、客の大半がクスリともしない。
真面目~ェに見ている。
隣にタータンチェックのスカートを穿いた(コスプレ魔でもない限りは純正の)女子高生がいたが、彼女は最後まで笑い声ひとつたてなかった。
普通は芝居を見ている時、隣の人の反応なんて気にもしないが、あまりに反応がないので段々彼女が気になって仕方がなくなった。
もしかすると彼女たちの「ステージを見に行く行為」ってのは「一発ギャグ」や「一瞬ギャグ」を見に行くということなのかもしれない。
しかし、芝居はコントの連なりではないので彼女たちは戸惑っているのかもしれない、などとも思ってみたのだが、真実はどうなのか?
単純に「面白く」ないのだとしたら、それは芝居を楽しむセンスが欠けているだけのこと。お金の無駄だから見に来ない方がよいと思う。鍛えられないモノだと思うので。

この頃、アクション・コメディの『トランスフォーマー』を大笑いしてみていると席を蹴られたり、おかしいエピソード満載の舞台を全然笑わない客と見ていたり、となんか、世間と僕の感覚には大分開きがあるようなのだ。
まあ、「流行り者」予測はそんなに外してはいないので、センス自体も僕はそんなにズレてはいないと思うのだが、過信か…。
まあ、「相撲」を外したのでちょっと自信はなくなってるが…。

2008年9月9日火曜日

命果てる日まで

この年になるとかなり頑迷になっているので、自分にとって口当たりの良い話とか、藁をも掴む思いで自分にとって都合の良い意見ばかり採用するのかも知れない。
大相撲に関しては僕の頑迷ぶりが全部の判断を誤まらせていたようで、すっかり落ち込んでいます。
理事長辞任でも理事として留任、はさすがの僕にも詭弁を弄する術がない。残念だ。
ただ、ファンを止めることは、まあ、出来なくはないんだけど、僕は「妄執の人」なので、目を離すことが出来ないかも。
もう、語りませんけどね。

今日はこれから下北沢まで芝居を見に行きます。
『たむたむ音頭』の作詞公募で一位になった石井信之君の主催する劇団「ミノタケプラン」第9回公演『空飛ぶ隣人』を見るためです。
ハックルベリー、阿鬼羅君、そして石井君。30年以上のつきあいになる。
こういう機会がこれからあと何年持てるのかな、などと先行き不安にも駆られる毎日なのだが、なぜか69歳から「ラジオ時代の再現とも思えるような大活躍期」に突入する運だとのご託宣が、つい最近、あった。
ホントかな。
ホントでなくともその希望に縋って生きて行くよすがにはなるかも知れない。

ただ、その時、僕の記憶力は健在なのかな。
まともに喋れるのかな。
身体も記憶も舌もヘタって、忙しさだけ復活することはあり得ないと思うので、なんとかあと5年、生き延びてみなければそれを確かめることが出来ない。
まあ、老人の世迷い言かも知れないけど。

あ、身体も記憶も舌もヘタってても「歌」なら書けるのか。そういうことかも。

ちなみに「ミノタケプラン」、今日明日は空席が出来ちゃってるらしい。
7:30からの開演、とまだ時間もありますので、突然の都合がつく方はぜひ、見てやって下さいな。
詳細はhttp://www.minotakeplan.com/でご覧下さい。

2008年9月7日日曜日

ストーミー・ウェザー

『オーシャンズ13』『七人の侍』『チャタレー夫人の恋人完全版#1~4』etc.etc...........。
連日、夕方からの雷雨のせいで録画がすべて失敗。
大画面用に録り直しているのがほとんどなんだけど、呆れるほど録れてない。
BS放送が雨に弱いことは解っていたのだけど、CS放送までブロックが飛び交って、途中で受信をやめちゃってる映画も何本か。ヤンなっちゃうね。
で、レンタル作品と録り溜めたモノを見てるんだけど、

★『大いなる陰謀』Lions for Lambs ('07)
監督:ロバート・レッドフォード
監督:ロバート・レッドフォード/メリル・ストリープ/トム・クルーズ

ロバート・レッドフォードが製作と監督を担当した意欲作。
この人の作品にしては珍しく面白くなれないままで終わってしまった。
巨大な国家的陰謀の話で、トム・クルーズは新進政治家だが野心家で、ベテラン政治記者のメリル・ストリープを自分の出世に利用しようとしている。
レッドフォードは大学教授で自分の講義に一回も顔を出さなかった青年に将来性を見つけ、出兵し、危機に直面しているかつての教え子について調査させようとしている。
けれど三大スターの共演が売りなのに三人全員が出会うことはついにない。
しかもメリルとトムは議員の執務室で語り合うだけ。政治家と記者だが丁々発止とやり合うシーンもなく、残念ながら演技的な火花も散らない。
レッドフォードも授業シーンと教授室のシーンで学生と語り合っているだけで、何の見せ場もない。
緊迫したシーンはかつての教え子が戦線で立ち往生し、敵に包囲されているシーンだけ。
この三つの舞台に司令部がレーダーを見ながら焦りまくるシーンのみで映画は構築されていると言っても良い。
これだけで映画を持たせしまっているのだから大したものとも言えるのだけど、主人公三人がほとんど動きもせずに喋っているだけなので、どうしても面白さにまでは到達しない。
メリル・ストリープは車に乗り込むシーンと車内の表情もあるけど、まあ、それだけなのでねえ。

★『バンテージ・ポイント』Vantage Point ('08)
監督:ピート・トラヴィス
監督:デニス・クエイド/マシュー・フォックス/フォレスト・ウイテッカー
   ウィリアム・ハート/シゴーニー・ウイーバー

大統領暗殺に絡む陰謀劇だが、殺害現場を目撃した、あるいは関与した8人の視点から映画は綴られていて、それぞれが最後にある一点に行き着く、という面白い試みをしている。
正直言えば、最初から予想される筋書きそのままに物語は進んでしまったのだが、僕はそれなりに面白く見た。
デニス・クエイドのシークレット・サービスもこれまでの域を出ない設定なんだけど、大統領の警護官はこれくらい頼りになる設定じゃないとダメだ。パターン通りで僕は満足。
警護の相棒マシュー・フォックス。ついに映画に登場だよ。テレビ『LOST』の主役ジャック医師で当てた役者で、漫画にすぐ描けそうな二枚目なのが良い。役どころもなかなか目立っていて、僕はこれにも満足。
フォレスト・ウイテッカーはさすがアカデミー賞俳優で単なるカメラ親父から重要な目撃者、さらに事件を追って駆け回り、デジ・カメ・ムービーを回し続け、少女を助けるヒーローに変貌して行く。アクション映画の中にいても見所満載の役で演ってても面白いだろうなぁ、こういう役。
ウイリアム・ハートは暗殺される大統領。
冒頭で暗殺されてしまうので、仮にもオスカー俳優、そりゃなかろうぜと観客に思わせるところが味噌で、当然、それでは終わらない。
そこに渦巻く陰謀、テロに次ぐテロが短時間に引き起こされて、映画は無謀なほどスリリングな展開になって行く。
この大統領役は彼クラスの役者じゃないと興味を最後までつなげない。つまり、助ける価値があるかどうかの問題でもあるので、ビル・プルマンあたりだと助からなくてもしようがないじゃない? なんて気になってしまいそうだ。
趣向も配役も面白くて僕は気に入った。

★『ゴッド・アンド・モンスター』Gods and Monsters ('98)
監督:ビル・コンドン
監督:イアン・マッケラン/ブレンダン・フレイザー/リン・レッドグレイブ

これは実在の映画監督ジェームズ・ホエールの晩年を描いた作品。
『フランケンシュタインの花嫁』で知られた監督だが、ゲイという性癖がこの人の命取りになったらしい。
それが「性癖」なのか「生き方」なのかは大事かもしれないけどね。
ともあれ、この物語は庭師クレイ・ブーンの逞しい肉体に魅せられたホエールが、彼に絵のモデルを頼むところから始まるのだが、イアン・マッケラン演じるホエールは実在感がある。
マッケラン自身がカミング・アウトしているゲイであるからだが、老醜が漂うようになったゲイの哀しさや、抑え込んでも湧き上がる青年への恋情の表現は名優の名に恥じない見事な演技。
受けて立つブレンダン・フレイザーも『ハムナプトラ』を上地雄輔君に吹き替えられちゃうと可哀想な気がする上手さ。
この人も顔が良すぎて使い道のない口。アドベンチャー物、絵空事映画が似合っちゃうタイプなので、この演技力はちょっと勿体ない。
やり場のないテイストの作品なのだが、庭師の青年がゲイの老人と過ごした日々を優しく思い出すラストに救われる。
メイドのリン・レッドグレイブが監督のすべてを知り抜き、嫌悪しつつも長年仕えている女を的確に演じて極上。
全体に計算の行き届いた非常に良い出来の作品。

★『ドリームズ・カム・トゥルー』Akeelah and the Bee ('06)
監督:ダグ・アッチソン
監督:キキ・パルマー/ローリンス・フィッシュバーン/アンジェラ・バセット

アメリカでは学生のスペリング・コンテストはテレビ中継されるほどの大イベントらしいのだが、日本で言えば公開漢字書き取りテストみたいな物。
中学生が大学生でも知らないような英語のスペルを口頭で答えて行く大会を「スペリング・ビー」と言うようなので、この映画のタイトルは『アキーラとスペリング・コンテスト』。
全く同じ趣向の映画にドキュメンタリーの『未来に架ける子供たち』とリチャード・ギア主演の『綴り字のシーズン』がある。
『未来に…』はこのコンテストの内幕が解るとても面白い作品だが、『綴り字…』は気分が沈む出来。
『ドリームズ・カム・トゥルー』はタイトル通り、「夢は叶う」が根底にある。ただスペル大会に出たがるアキーラに困ったことばかりする母親の存在がちょっと生煮え。
邪魔する根拠がよく判らないのと、突然の変貌にも納得が行かない。
ただ、出場する子供たちの描き方はこれが一番愛らしい。大嘘なんだけど、こういうシビアな話をエンターテインメントに持って行く手段としてはその甘い手、ぬるい描き方が結構大事な時もあるので、僕はまあ、許せる範囲かな?
もっと上手な方法もあるだろうけど。
フィッシュバーンは製作・主演を兼ねていて、かつて『TINA/ティナ』で憎み合ったアンジェラ・バセットをキャストに迎えて今回は解り合う大人を演じていて興味深い。
スペリング大会には人生と地域社会の未来が懸かっていることもよく判って、映画的緊迫感もちゃんとある。

相撲報道で気分がへたっている僕には『ドリームズ・カム・トゥルー』が最も救いだったかもしれないな。

2008年9月4日木曜日

ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイアモンズ

真鍋かをりさんという女性タレントに何も感じたことはなかったが、今日初めて僕の触覚をふるわせるものがあった。
角界大麻疑惑。
この問題が出てきた一昨日以降、僕はみのさんの番組以外のすべてのニュースショー、ワイドショーのコメントに耳をそばだてようとした。
それでも見逃しがいっぱいあるので、断言は出来ないが、僕が見たどの局のニュースキャスターも、どのワイドショーの司会者もそのアシスタントも、そしてこの問題を扱った全番組のどのコメンテーターも言わなかった、でも日本中の視聴者が誰も感じていたひと言を言ったのはただ一人、真鍋かおりさんだった。
そして、その言葉を受けての小倉智昭さんのコメントも真っ当な人の反応だと感じた。

9月4日(木)午前8:00~ のCX系情報ワイド番組『とくダネ!』。
彼女はコメントした。

若の鵬の大麻疑惑が大騒ぎされている時に、一番疑われやすいロシア出身の力士が、わざわざこの時期に大麻吸います?

露鵬、白露山兄弟の大麻疑惑が流れた時、日本中の相撲ファンが感じたのはこれに尽きたんじゃありません? 
だって2~3日前まで吸っていないと出ない反応だというのだもの。
間抜けなのは相撲コメンテーターだ。

弟の白露山は真面目だが、兄の露鵬はキレ易い。

なんだ、ソレ?
二年前、露鵬が千代大海に突き出しで負けた際、勝負がついているのに客席にまで突き落とされたことを怒って露鵬が千代大海にガンを飛ばし、一触即発になった事件が例に上げられた。
それについても僕は以前に書いたが、僕がみのさんの番組を今回見ない理由は二年前のそのニュースで「見てよ、このワルそうな顔」と露鵬の写真を手で叩いたか、指で弾いたことがあるからで、今回、鬼の首を取ったように語るであろうことが容易に想像できたからだ。
ちなみに露鵬の事件は、千代大海との取り組み後、怒り狂って、風呂場のガラスかなんかを割り、険しい形相の彼を撮ろうと支度部屋のドアの前でチャンスを狙っていたカメラマンと記者に暴行を働いたというモノだ。
彼には「出場停止3日」の処分が下された。
だが、相撲ファンは地位が上の千代大海の振る舞いにも厳しかった。
出場停止が解かれた日、客席から期せずして「露鵬コール」が巻き起こり、ソレも大々的に報じられたのだが、みのさんはそれについてはスルーした。

よくあることで僕は驚きもしないが、近年、ニュースもワイドショーも権力と大衆へのおもねりが目立つ。
日本の肩を持つか、外国の肩を持つかの選択に迫られたら、番組出演者たちは迷わず日本の肩を持つ。

「洋画の字幕が読めない若者が多く、吹き替え版が増えている」というニュースがあった。
それに関しては「外国でも吹き替え版の比率の方が増えているんですよ」というコメントが、この頃大勢を占め始めている。
ここでは日本の若者への媚びが売られている訳だ。
ハッキリ言おう。バカに媚びを売ってどうする気だ。テレビは飾り窓の女か!
少し上品に言ってみました。ホントはもっと品の悪い言葉を使いたいが…。サノバビッチ! とか? イヤ、もっと下品な日本語で…。

たとえばアメリカでは多くのメキシカンのためにスパニッシュに吹き替えるのね。
『ウエストサイド物語』のリタ・モレノも声の吹き替え仕事をしてたのよ、
とか、
国民皆教育も日本ほどじゃないでしょ?
字幕を読む能力が最初からないわけだから吹き替えじゃないと映画も見らンないのよ、
とか、
キャスターさんたちにはそんな説明もしておいてやらないといけないんですかねぇ。
日本では一応読み書きの充分な教育がなされているんだから吹き替えのサービスなんて文字からインスピレーションを得られなくなったバカ餓鬼向けでしかあり得ないじゃないの!
「餓鬼」ったってホントに子供ならまだしも、その中心は2~30代の人たちなのよ。
ってこんなこと何度も(ホントに3年くらい前から何度言ったでしょうね)言わせるなよ、って話サ。
でもね、

裁判シーンでの台詞「保釈だ」
お茶の間の反応「何、”保釈”って」

って、現実はこんななんだから吹き替えにしたってそれほどの効果はないと思うよ。
吹き替えを云々する前に基礎学力が足りないんだから、これが読めないなら、お前には映画を見る資格がない、とか、字幕も読めないなんて恥ずかしいことなのよ、不法移民のメキシカンじゃないんだから、って思わせてやらないと、映画芸術そのものが衰退して行くと思うけどね。

まあ、そんな訳で露鵬の肩を持つより、しつこすぎる日本人カメラマンの肩を持つ方が身びいき日本人の大多数の賛意が得られると踏むのは売れっ子の嗅覚だから、テレビに出ている旬の人たちはみんなそうする。
だからみのさんばかりを責めはしないけど、見なくても今回の彼のコメントは読める(つもりだ)。

こういう日本に充満してる空気の中で高見山から始まるハワイ勢は闘い、今また琴欧洲や黒海、露鵬兄弟らヨーロッパ勢は奮闘してる。
マスコミも味方してくれず、琴欧洲が横綱に王手か、なんて「金」の匂いがし始めた時だけ、群がってチヤホヤするのサ。
「身体が大きい」のでなくただ「太っている」だけの日本の中卒の子供たちと彼らは違うので、マスコミのそうした差別感を敏感に察している。
だから、支度部屋の壁を怒りで蹴破るのサ。
もう、いい加減、その辺の事情くらい判ってやれよ。
まあ、判ってても琴欧洲の悪口書く方が記者として楽なのよね、多分。
そういう姑息な理屈の中でスポーツマスコミ(に限らないけど)は小っちゃく小っちゃくなってきたのよネ。

ま、贔屓の引き倒しにしかならないので多くは語らないけど、北の湖さんの言う「すべてはそれぞれの部屋の問題。親方の責任です」はその通りです。
「北の湖」さんが「北の湖親方」となったいきさつなんて涙なくしては語れない。
このかつての大横綱は身体がボロボロになっても現役から引退できなかった。
親方株を貸してしまっていたからだ。
返却を迫れば借りている親方は「廃業」するしかなくなる。
北の湖さんは黙って必死で相撲を取り続けた。
そのことにやっと気づいた彼の親方が奔走して、横綱北の湖に一代年寄の報が届けられたのは引退当日の朝だったという。
悪いけど日本の相撲マスコミはそんなことひと言も報じなかった。
「北の湖引退間近」と気づいて『父ありて』というテレビの企画書まで書いていた僕がそれを知ったのはそれから数年後、作家もりたなるおさんが書いた『北の湖凍る』という相撲小説で、だった。
知ってたら僕は企画書を書かなかったかも知れない。可哀想で。
そんな訳で日本に相撲ジャーナリズムはハナから存在していない。
テレビの中で一億層評論家風に北の湖退陣待望論を語られると僕は涙が止まらない。

相撲は一門制で北の湖さんは相撲界最大派閥の出羽一門にいる。
「大派閥」に救われて土壇場で「一代年寄」の名跡が手に入れられたとも言えるし、だから現在理事長なのだが、苦しみに苦しみ抜いて引退を決意するまで、誰も手を差し伸べなかったのもまた「一門」である。
北の湖さんが頑固に言い張る「部屋の問題」「親方の責任」に彼の相撲界に対する恨みもつらみも、そして感謝まですべてが含まれている。
その小さい範囲に収めておかないと北の湖さんの哀しみ苦しみには果てがなくなる。ただ、広げてしまわないと相撲協会の改革への道は見えてこない。
つまり、北の湖さんには改革は出来ない。
相撲協会の体制や体質が前近代的と言うより「反現代」的なのは北の湖さんの責任じゃない。
旧弊な世界でひたすら努力して、努力すれば結果はついてくると12歳から教えられてひたすら頑張り、それを実現してきた北の湖さんに、この体質は壊せない。
彼は旧弊さを窮屈とも不都合とも感じていないはずだ。だって、彼にしてみれば「努力すれば夢は叶う」ってことなんだし、事実、それを実現してきた人なんだから。
元々凡人でない人に、今、急に凡人になれ、ったってそれは無理だろ、と僕は思うけど、そう言ってる場合じゃないことも僕には判ってる。僕は凡人だから。てことは北の湖さんにこの発想は出来ないんじゃないか、と危惧もしてる、ってことになるんだけど。

北の湖さんは1985年から86年初場所にかけて土俵から降りたくても降りられなかった。
でも今度は実は簡単に投げ出せる状況が整っている。
誰も北の湖さんの理事長続投を願っていないからだ。
でも、北の湖さんはあの時と同じように頑張って頑張って頑張って問題に取り組んでいれば最悪の事態は何とか避けられるのではないかと思っているような気がする。
でも、多分、今度はどうにもならないかも知れない、と僕は悲観的な気分に支配されている。

北の湖セクハラで告発さる。
そんな記事の躍った数年前から僕は相撲界に北の湖理事長失脚を画策するグループが存在するようなイヤな空気をずっと感じている。
単なる憶測。妄想かも知れないけどね。
もしかするとそこには外部の人間も絡んでいると思うんだけど、この頑固一徹などう見ても堅物の理事長にはピンクスキャンダルも似合わなければ、そのご本人の部屋から「師匠の責任」をわざわざ問わせるようなロシア出身力士の大麻疑惑。
悪いけど、あり得ねべサ。陰謀以外にヨ。

そして北の湖さんみずからが「再発防止委員会」とかに言ったという「疑惑が確定しない内に何故、記者会見しちゃったの?」は視聴者の誰もが感じてる疑問だよ。
やくみつるさん。
相撲を揶揄するのはあなたの本職だけど、こういう時は誰もが感じる疑問をあなたも持って、もっとマシなコメントして。
北の湖さんの理事長としての資質を問う前に、理事長の部屋から疑惑の力士が出ているのに、理事長を蚊帳の外に置いたまま記者会見させたあなた方委員会の意図を聞かせて。
今回、あなたも口にしたと思うけど、「相撲協会を揺るがす大問題」は、あくまでも今回に限ってだけど、実はあなた方の手によって増幅された部分もあるんじゃないの?

まあ、若ノ鵬については前々回の『本日の店主』で名前を挙げてないように、力士としてまだ認知していない人だった。
美男なので十両に上がってきた時にすぐに気づいてはいたけど、一応、相撲マニアの僕は美男ってだけでは出世期待リスト、評価定着リストには加えないので。スマンね。

ともあれ「横綱」、特に「北の湖」にリスペクトのない人に何かモノを言って欲しくないんだよ、僕は。こんな言い方に無理があるのは承知だけどね。相撲とブレイク・ルイスに関しては無理を承知で言うことにしてるんで。

何かを作り上げることをせず、壊すことだけに腐心してきたある世代以降は、何でも「一回全部壊しゃイイんだよ」てなことを安直に言うのだけど、その時、壊した後のプランが添えられていれば僕もうなずくのだけどな。

ま、今朝は真鍋かをりさんに拍手、ということで…。

2008年8月29日金曜日

青いイナズマ

イヤー、夕べの天気には参りました。
FMさがみ録音のために赤坂へ。スタジオ入りは午後6時。
乗り合わせたタクシーのドライバーによれば、彼の車は午後3時頃、あまりの集中豪雨で前方が見えなくなり、客を乗せたまま、何十分か立ち往生してしまったと…。

CD探しに少し時間がかかってて録音終了は7時40分。
スタジオを出たのが8時でした。
市ヶ谷駅までタクシーで出て東武東上線森林公園駅を目指したのですが、この時間、上手に目的地まで行けなそうなので、池袋駅で乗り換えて東上線に乗ろうと予定を変えました。

さて、東上線のホームに入るとなんだかダイヤが乱れている。
長蛇の列の、その隣の列に並んで8:28発に乗ることに決めたんですが、1本前の8:20発というのがなかなか来ないのですね。
電光掲示板によれば「川越駅で信号トラブル」。

やがて8:20発は30分遅れで発車して、僕はすぐにやって来た8:28分発に乗り込んだのです。
運良く座れて発車を待ちましたが、これが出ないのですね。どうやら落雷が激しくて発車できない由。

家に戻って明日また出直すことも考えたのですが、座れちゃったし、すぐに発車するかもしれないし、と心を決めかねている内、なんと60分遅れで動くことになりました。
ところが、「中板橋で一旦停車。その後すぐに発車するかどうかは判らない」という、これまで遭遇したことのない内容のアナウンス。
元々停車する予定のない駅で止まられても客は困るベサ、と思っていたら、止まるより前に、これが全然発車しないのですね。

またまた、待つことしばし、で30分。
「急行」から「各駅停車」に変更して運転されると…。
もう、何でもイイからとにかく動いてくれよ、と何もかも諦めてとにかくブレイク・ルイスを聞き続けておりました。

乗車してからほぼ90分遅れで発車しましたが、なるほど、大雨の中、稲妻が何度も走る。
電車は満員、どの駅でも乗客が列をなしていますから、夜の10:30だというのに時ならぬラッシュ状態。
そんなこんなで11:10に目的駅着。

夜は夜とて落雷があったか、というほどの大音響で稲妻が走り回り、さすがに僕は心臓を押さえた。
電車には座れたのだから疲れているはずもないのに、足がこむら返りを何度も起こそうとするので、真夜中、布団の上でこれを未然に食い止めようと低気圧相手の暗闘を続ける騒ぎとなりました。

もう「今年の天気はヘンだね」と言っててはいけない気がしますね。
「今年は」と言い始めてから既に3~4年。
「今年は」でなく、これが日本の気象の現実なのだと早く認識した方が良いと思う。
そうでないと対策が遅れ遅れになって、天候による被害はこれからも予期せぬ形で(あるいは予期した通り、かもしれないのだが)起こり続けるだろう。
日本は明らかに「亜熱帯地方」となったのだ、と認識を早く改めて根本から迅速に対策を立てないといけない。
河川工事を初め、ガード下の窪んだ部分などの安全対策を早急に進めないと「どこの国の話だよ」と思うような、都会での溺死事故がまた起きる。

8月29日、午前11:40。
今、実家地方はピーカンとなっています。
さっきまでは今にも降り出しそうな天気だったのに。
身体が全然ついて行けませんで、猛烈な眠気が襲っています。
大気が不安定なのを身体が先に感じてる。多分、明日までにまだひと波乱あるかも…。
皆さんもどうぞお気を付け下さいまし。

2008年8月13日水曜日

戦争は知らない

大関琴欧洲のオフィシャルブログ
『ちゃんこ鍋とヨーグルトって意外と合うんです』http://kotooshu.aspota.jp/
が大好きで毎日覗いている。
日本語の練習のために作った感じがするほど簡潔な写真主体の日記で、この類稀なる笑顔を持った被写体はほぼ毎日、モノを喰っている。
タイトルからして「喰ったモン日記」だ。
舌足らずな文章が可愛っくってしようがない。

「8月7日
おみあげ
なまきゃらめる まち
すごく ひと」

写真があるのでこれで十分。
「お土産の生キャラメルを買おうと凄い人数の客がいっぱい待っている」というのだ。
ほとんどの写真は自分が被写体として誰かに撮って貰っているのだが、これだけは自分で撮ったのかも知れない。
他の写真よりサイズも小さく、下手な感じがするんだけど、それすらむしろ愛嬌になっている。
彼が名古屋場所を9勝6敗の決して褒められない成績で終えた後の夏巡業中の日記だが、各地で優しい声援を受けたに違いない。
屈託なさ気で、場所中の重圧から逃れた開放感が見て取れる。
どこでも彼は笑っていて、子供たちにふれあった日は文章も弾んでいる。

「すもうと カレーも ありがと
 おいしかた うれしかた☆
 あついのに ありがと」

読んでる内に思わずニンマリしている僕がいる。
この青年が僕は大好きだ。
横綱獲り。焦ることはない。僕らは十分待たされた。でも、まだ待てるから。

最高位小結の黒海はグルジアの出身である。
彼の故国は目下、ロシアとの戦争に巻き込まれている。
彼は15年前の内戦で家や土地を失くし、母方の祖父母の元に逃げ込んだ。
それをきっかけにレスリングを始め、欧州ジュニア130キロ超級で優勝。
スポーツアカデミーに入ったが、琴欧洲同様、体重制限が120キロまでとなったことから相撲に転向。
2001年に来日して5月に初土俵を踏んだ。
2年で十両。その後4場所で幕内。琴欧洲より早い時期に史上初の欧州出身関取となり、幕内力士となった。
肉親の死の報に接しながらも黙々と土俵を務め、場所後、急いで墓参りに帰国したこともあった。
黒海 太(こっかい・ふとし) 昭和56年(1981) 3月10日生。27歳。敢闘賞2回。
技にはあまりクセがないが、苦労の多い人生がそうせるのかインタビューでは人柄の良さが覗く。
弟を呼び寄せて力士にした(司海)が再起不能の大怪我で、廃業した。
戦争の報を見るにつけ、彼の家族の安否や司海のその後が気に懸かる。
7月の名古屋場所は西前頭10枚目で 5勝10敗と大負け。来場所は幕尻まで下がることが予想されるが、戦争が彼の相撲人生にさらなる影を落とさないことを心から祈っている。

黒海とは部屋が違うが、入幕ふた場所、最高位前頭14枚目の栃ノ心 剛(とちのしん つよし)もグルジアの出身である。
どこか曲者顔なのですぐには華やかな人気者にはなれないだろうし、今はまだ幕尻の番付を守るのがやっとの成績しか残していないが、この力士は強くなる。
外国人力士の中では抜群に相撲が上手い。どこかで殻を破れれば一気に上位を目指せると思う。

彼らの国と交戦しているロシア出身の力士には露鵬と白露山の兄弟がいる。
彼らはグルジアと接するオセチア・アラニア共和国の出身なので二人もまた気が気ではないと思う。
この日本の中に祖国が交戦中の人気者がいるという事実。
日本もやっとそういう時代に入ったんだな、と思う。
外国人を受け入れるということは日本人の目をいやでも世界に向けさせる効果を持っている。
日本で一番感度が低い相撲界が、今、我知らず最も先鋭的なシグナルを発していることに何だか妙な感慨を覚えている。

2008年8月3日日曜日

流れ星

漫画家の赤塚不二夫さんが亡くなられた。
僕は72年頃には既に『少年サンデー』や『少年マガジン』を読んでいたのだが、一番好きなのは赤塚不二夫責任編集と銘打った『まんがNo.1』という月刊漫画誌だった。
付録にソノシートがついていて、三上寛『おまわりさん』『ホイ!』山下洋輔トリオ『ペニスゴリラアフリカに現る!』などの他、当時、赤塚さんの懐刀だった長谷邦夫さん作詞による中山千夏『DISCOVER WAR 自衛隊讃歌』カミソリQ子『女番長ロック』井上陽水『桜三月散歩道』の6枚が今も手元に残っている。
つまり、この雑誌は6号で消えた。
赤塚さんは当時、時代の寵児とも言える存在だったが、この月刊誌は何故か毎号250万円の赤字だったという。
陽水のレコードはLPに収録される前の物で一部歌詞が違うという今ではレアものと呼ばれる種類の物である。
カミソリQ子は、多分だが、青山ミチの変名である。

この責任編集本失敗の後に赤塚さんは一時期(おそらく3ヶ月くらい)「山田一郎」という筆名を名乗った。1974年のことだと思う。
これがどういうわけか「かぜ耕士は赤塚不二夫の弟」という噂になった。僕の苗字が「山田」ということからの連想だが『たむたむたいむ』がようやく評判になり始めた頃だ。
そしてどうした加減か僕はその時期に新宿の飲み屋で赤塚さんに偶然お会いした。
その話をしたら、「面白いから放っておけばイイじゃない」と赤塚さんは笑ってくれたのだけど、それからすぐに元の名に戻られたので僕の弟説もいつの間にか消えた。
赤塚さんにはそういう個人的な想い出がある。
ちなみに『天才バカボン』の「パパ」の本名は「バカボンのパパ」である。他に呼び名は見あたらない。
どうでも良いが…「これでイイのだ!」

親しい人が亡くなる。
28日に亡くなったのはテレビに仕事を移した頃、取り立ててくれた演出家の下村善二さん。
下村さんは『ウルトラマン』で知られる実相寺昭雄さんの映画『歌麿 夢と知りせば』などで助監督を務められた。ちなみにWikipedia などでは名前が間違っている。
僕が初めてお目にかかった頃はテレビの旅番組などの演出をされていたが、劇映画演出への情熱は冷めておらず、会ったその日に一冊の雑誌の切り抜きを僕に手渡された。
「脚色して欲しいんだけど」
高橋昌男さん原作の『音無川絵図』だった。
僕の第一稿を読んでの感想は「ポルノにはしたくないんだけどねぇ」だった。
僕もポルノにしたつもりはないのだが、濃厚なラブシーンが数カ所あって、それは原作の大事な要素の一つに思えた。僕はその原作のテイストが今でも大好きなのだが、ともあれ、以後、下村さんはその仕事に必ず僕をキャスティングして下さるようになった。

実は下村さんの実年齢を正確には知らない。
僕より多分、だいぶ先輩のこの方が重用してくれたので、僕にはかなり大手の製作会社のプロデューサーから声がかかるようになった。
本数を増やすもととなったのは以前何度か書いたヤラセのNさんなのだが、のちにレギュラーに結びつく仕事は下村さんの引き立てあってのことだった。

葬儀は斎場の外にまで列が出来て、その人脈が偲べたが僕が個人的に知っている人は5人くらいしかいなかった。
その中のお一人で、かつてかなり密に仕事をした人に挨拶したが、テレビの業界に出入りしなくなって久しかったからなのか、「あ、ドモ」と言われてそのままだった。
多分、僕が誰なのか思い出さなかったと思う。ただ、その時、ふと、テレビから遠ざかって正解だったのだ、と思った。
僕に気づいた人は「かぜさん、痩せちゃったねぇ」と僕の健康を気遣ってくれたが、人相も判別がつかないほど痩せているのだとしたら問題だな。まあ、貧相なジジイになりつつあるのは事実だが…。

そんなこんなで元気の素が足りず、しばらく落ち込んでいた。
ブログも「店主」もサボりがちだが、少し、頑張らないとね。

テレビは今週で『ER』シーズン7と『アメージングレース』シーズン6が終わるんだと思う。
『ER』は落ち着いた展開だが、もはや新味は出難い。レギュラー出演者たちの成り行きが気になるので惰性で見ているだけかも知れない。
今シーズンの『アメージングレース』もエミー賞を貰ったらしいが、今回が一番好きになれなかった。
怒鳴りまくる夫、耐え続ける妻。家庭内のSM関係が垣間見える上、それが共依存関係だとやがてハッキリ判ってくるので見ていて辛く、脱落した時はホッとした。
レースの失敗を相手のせいにし続けてキレまくる恋人たちは今週脱落。
脱落を告げられると同時に男はテレビカメラの前で結婚を申し込み、女はそれを受けたが、さっきまで罵りあっていた二人なので、見ている方はついて行きにくい。
なんか今回は出場者と視聴者との間に微妙なズレが起き続けたシーズンだった。
レースの仕掛けは回を重ねるごとに面白くなっているが、特色のある出場者を、と狙いすぎると今回のようにイヤなカップルばかり、ということになりかねない。
当たってしまってシリーズになった作品が上質なマンネリを続けて行くのはなかなか難しいことなのだなとつくづく思わせる。

『24』は目が離せない。今シーズンは面白すぎて見終えるとグッタリしてしまうほどだ。
『ゴースト 天国からのささやき』は『ミディアム 霊能者アリソン・デュボワ』の二番煎じみたいな趣向だが、光の世界に旅立てず、この世にとどまっている死者たちの切ない思いに毎回号泣してしまう。
こんなに泣かせてくれるシリーズ物も珍しいと思う。といってもまだ2回しか放送されていないので、作り手の方も力が入っている時期の作品かも知れないな。
『アグリーベティ』は漫画チックな展開だが、ゲストに『アメリカン・アイドル』シーズン5の準優勝キャサリン・マクフィーや『プロジェクト・ランウェイ』の進行役ティム・グンが出てきて、僕的にはなかなか止められない。
高校の女探偵『ヴェロニカ・マーズ』は今ひとつ乗り切れていない。
楽しみはサイファイ・チャンネルの『Kyle カイル XY』。現在はまだ超能力少年程度としか解き明かされていない彼の実像に興味津々。
ちょっと見逃せないお気に入り番組になっている。

皆さんも楽しい夏をお過ごし下さいね。

2008年7月14日月曜日

あの場所から

業界の後輩ふたりにつきあってもらって久しぶりに焼肉を食った。
ひとりは『涙をこえて』を書いたばかりの頃、僕を訪ねてきてくれた学生。今は放送作家兼業で制作会社社長をしている。
シング・アウトのメンバーと同級生だった関係で、僕にとってはこの業界で最初で最後の弟子的立場に収まってしまった(とは言っても別に師弟関係は築いていないのだが)。
もうひとりはテレビを始めてからの後輩。今はTVKでディレクターをしている。今日は奥さん同伴で来てくれて、食事のあと、蒲田のカラオケ屋で3時間くらい歌った。

まあ、一曲目は声馴らしで小林旭の『ダイナマイトが150屯』。あとは三橋美智也の『俺ら炭坑夫』『母恋吹雪』山田真二『哀愁の街に霧が降る』飯田久彦『小さな悪魔』森山加代子『月影のナポリ』飯田久彦『悲しき街角』パット・ブーン『砂に書いたラブレター』美空ひばり『素敵なランデブー』と誰も褒めてくれない50~60年代中心の選曲。

制作会社社長も小林旭の、僕の知らない、というより一度も聴いた覚えのない歌に始まって、知っているけど僕は歌えない70年代フォーク歌謡とマニアックな歌謡曲のオンパレード。
作詞が阿久悠さん、なかにし礼さん、山上路夫さんと大御所ばかりの良く出来た歌謡曲が続いて、そう言えば、高校時代、フォークソングを歌っていたとか言ってたなぁ、などと思いながら上手さに驚いて聞き入った。

ディレクター君はかぐや姫、アリスなどのフォーク、奥さんは松田聖子ちゃんを初め、80年代POPSが多く、みんなの〆は意図しなかったのに尾崎紀世彦さんの『また逢う日まで』。
時間が来ちゃったのでこれがラストソングだったんだけど、なんか良かったかも。

ちなみにトピックスは『涙をこえて』が「ヤング101」でなく、「シング・アウト」だったことと、な、なんと竜鉄也『せせらぎの宿』もあったことだね。
僕は初めて自作の演歌を歌ったんだが、これは気持ち良く歌えた。
割合、面白い作品のひとつかもしれないと思った。←勿論、単なる自画自讃。

という訳で64歳には特別な感慨はないけど、とりあえず誕生日は終わった。
なんとか頑張ってもう一年、生き抜いてみようと思っている。
お祝い書き込み、お祝いメール、そしてお祝いカードを下すった皆さんに感謝。
そして、今日つきあってくれたO君とY君夫妻に心から「ありがとう」。

2008年7月9日水曜日

篠の葉さらさら

原作になっている漫画がお気に入りだったので七夕スタートの新ドラマ『あんどーなつ』を見た。

貫地谷しほりさんという若手女優が一途さを感じさせる素晴らしいキャラクターで期待を裏切らない出来だった。
國村隼さん演じる梅さんも予想外の良さ。
というのも僕はこの人のマイクがあるはずなのに時々聞こえない台詞遣いがダメで長いことこの人の出演作は敬遠していた。
今度の作品は貫地谷さんの奈津と國村さんの梅さんがガップリ四つに組む構成なので、見ざるを得なかった訳だが、竹さんの尾美としのりさんともども、とても良いキャスティングだった。
風吹ジュンさんも適役でなんだか好きになれそうなドラマだ。

ところで、きっと見た人すべてが気づいていると思うけど、ファースト・シーンの主人公の面接シーン、人事課さんはここ数日、産地偽装でニュースを賑わせている中谷彰宏さんではあるまいか?
俳優が本職ではないと思ったが、なにゆえのキャスティングだったのだろう?
気になって気になって仕方なかった。

七夕の短冊。
「千代の山にあわせて下さい」と書いた昔を思い出しました。

2008年7月1日火曜日

イエスタデイ~ダイナマイトが150屯


昨日、初めて地下鉄副都心線に乗った。
偶然である。
トンカツを喰いたいという母に連れられて実家近くのメシ屋で昼飯を食べたあと、帰るきっかけを失って、「オレ、そろそろ帰るわ」と母に告げたのが午後1時50分。
85歳になった母のもの凄く乱暴な(良く言えば威勢のイイ)運転で最寄り駅に着いたのが2時。
バックパックとゴロゴロ・カートを両肩に担いで結構段数のある階段を駆け上り、切符を買い、エレベーターで急降下。
既に到着していた2時03分発の急行に飛び乗ったら、ニトロが欲しいほどの息切れだった。
危ねェ危ねェ!

ブレイク・ルイスを聴いていたらいつの間にか居眠りしていたようで、目を開けると、ホームを挟んで「渋谷」行きの表示のある電車が見えた。
駅名を確かめると「和光市」。
あれが噂の副都心線か。などと思っている間に好奇心の強い僕はもうその電車に乗っていた。
ほぼ3時。車内はガラガラで何週間か前、開通日のニュースで見た混雑はどこにもなく、なんと30分後には終着駅「渋谷」にいた。


出口階行きエレベーターに乗った途端、さっきホームの警備をしていた男性がスルリと乗り込み、僕の全身を一瞥した。
洞爺湖サミットのための都内緊急警戒中らしい。
ふーむ。
僕はなんだか気分が良くなった。
つまり、僕ってちょっと危ない人間に見えたんでしょう?
荷物をふたつ持った姿が非日常的なので警戒されるのは当然だけど、どう見たって60歳過ぎのジジイぢゃん。
体力的に見たって、何もデキゃせんでしょう。僕一人に貼りついている間に過激派の2~3人が階段駆け上っているかもヨ。

とは言いながら僕らの仕事なんて誰にも警戒されないその辺のジジイに見えたら人生終わりだよ。
危なく見えた分だけマシってもんサ。

超過料金140円。
池袋までの切符700円を持っていたので、僕ン家駅から渋谷までは840円。
小林旭を口ずさみながらちょっとゴキゲンで東横線~多摩川線で我が家駅を目指した。

矢口渡駅を意図的に乗り越して終点蒲田駅にあるTSUTAYAに行き、『迷子の警察音楽隊』、ジョニー・デップのテレビでの出世作『21 ジャンプ・ストリート上下巻』などを借りて、タクシーで帰還。

そういえば42年前の明日は武道館でビートルズを見たのよね。
アリーナの壁は蟻の這い出る隙間もないほど警備員がビッチリと立ち並び、思えば彼らが特等席。
むつらぼしさんご推察のように観客席は二階だけ。僕の席はビートルズを右斜め後方から見る形だった。
4人は一度だけ、全方位に手を挙げ、観客に挨拶したが、多分僕の席からはポールの姿が見えなかった。
見えても見えなくてもどっちみち見えなかったと思う。
僕の前の一列は全員女の子で、最初から最後まで立ち上がってポールの名を呼び、ハンカチを振り、泣き叫ぶ集団だったんだもの。
僕の頭越しに警備員が「座りなさい、君たち、座りなさいッ」と叫んで彼女らの肩や頭を押し下げ、隣の老夫婦は「こんなのどこがいいんだ」「バッカじゃないの」「くだらない」「なんだコレは」とコンサートの間中、ビートルズと観客を罵り続けた。
僕はなんだかウキウキ気分を削がれてしまい、乗り切れないまま「今日のテレビ放映には間に合わないよなあ」と詮無いことを考え続けていた。

それでもあの場にいただけマシ、というビートルズ体験。
少なくともあの場に居た若者たちは今も、演歌好き、『水戸黄門』好きだけのジジババにならずにすんでるかもネ。

♪ダイナマイトがヨーホホホー! ダイナマイトがヒャクゴジットン!

2008年5月22日木曜日

本命はお前だ

2005年9月28日にこんなことを書いていた。

Wednesday, September 28, 2005
「カロヤン・ステファノフ君」

琴欧州は憂愁の美男である。
出身国ブルガリアのイメージにいかにもハマる。
ブルガリア・ヨーグルトの国、ってのも馴染み具合が好印象。明治乳業、ウハウハか?
別称「角界のベッカム」。うーん、ハニカミ加減がな。辛うじてOKにしてやる。
これから毎場所優勝に絡んでくるので、もう、顔が厳しくなり始めているが、一方でどこか気恥ずかしげな愁いも漂わせている。
「世界の果てのこんな島国で何故か人前で裸になってるオレ…」
そんな戸惑いか。
でも、番付上位を見渡してみても、常に優勝を争えるのは、今、朝青龍と琴欧州しかいないよなー。

琴欧州の活躍で、もう一人の欧州出身力士が注目され始めた。
三保ヶ関部屋の十両・把瑠都凱斗(ばると・かいと)。
バルト海沿岸の国エストニアの出身である。「角界のディカプリオ」だそうな。まあ、OKかな?
霧島関(現・陸奥親方)の「角界のアラン・ドロン」の突飛さに比べれば、元々外国人なんだからあまり無理がない。
「琴欧州」に比べると「把瑠都」という四股名そのものにはちょっと無理を感じるが…。

把瑠都は明るい。バルト海のイメージも相乗効果か?
笑顔も良い。
日本語の覚えはどうやら琴欧州より早い。しかもデカイ。小錦、武蔵丸同様、重さと怪力でしばらくは挫折知らずで番付を駆け上がるかも知れない。ただし、太り過ぎそうな気配もある。

ところで、把瑠都君、一つお願い。その金髪を黒く染めてくんないかい? 
なんか頭のてっぺん辺りの輪郭がフワッとしていて、力士としての姿形の決まりが良くないんだけど。
黒髪だとキリッとしたいい顔になると思うんだけどな。
あと、老爺心だけど髪が薄くなって髷が結えなくなりそうなおでこの広さに要注意かな。
洗髪の後、増毛剤でも使って欲しい。

その点、琴欧州は心配ない。だって、本名が「カロヤン」…。
これが言いたかったんかい! ンだ。


これは琴欧洲が快進撃を続けて大関昇進が現実的になり始めた時に書いている。
この9月場所、欧洲君は期待通りの13勝2敗を上げて、翌場所10勝すれば「大関当確」となり、11月の九州場所で見事11勝4敗として昇進を決定づけた。

2006年1月初場所は大関昇進場所。
まずまずの10勝5敗としたが、春場所に向けての稽古中、膝を傷めた。1度傷めている、言わば古傷である。
ひと場所休場して養生すべきだった。
しかし、彼は出場し、痛々しい包帯姿で辛うじて場所を務め、驚くべき身体能力で9勝6敗とした。
そして彼はその後も休まず場所を務め上げた。
しかし、かつての勢いは影を潜め、やっとの勝ち越しやまぐれの10勝と、決して褒められない土俵を披露し続けた。
「クンロク大関」以下の仕事が続いた。
取り口も簡単に勝とうとする引き技や、朝青龍が広めて以来、角界中に蔓延してしまったみっともない取り口「張り差し」を多用するという見ていられない相撲になって行った。

そして、来るべきモノが来た。休場。そして、カド番。

2007年11月と2008年3月。ひと場所置きのカド番は陥落の定番である。
ついに琴欧洲にもその時が来てしまったか、と思った。

実は今年の初場所は怖くてテレビ中継は見なかった。
3月場所も途中休場だったので、負け始めた時から見ておらず、当然今場所も見るつもりはなかった。

ところが、なんでかなあ、2日目の中継をつい見てしまったのだなぁ。
相手は旭天鵬。
下手投げで下したのだが、なんだか、膝の怪我をして以来、初めて、というほど具合が良さ気なのだ。

それでも、今場所カド番を乗り切ったら、来場所からまた見よう。
今場所、また負け越して大関陥落が決まったら、これっきり、相撲を見るのをやめよう、と決めていた。

しかし、大森南君が書き込んでくれてしまったのだなぁ。
「欧州君、調子良好」
ウーン、見ざるを得ンでしょう!
翌日からリアルタイムでテレビ桟敷に陣取ってしまいましたのさ。

10連勝した時、朝青龍に勝てたら何かが変わる、と思いましたね。
横綱二人だけで優勝を争う場所が続いていることにファンが食傷している現実。
どんなに問題横綱でも、結局、出てくりゃ勝ってしまうことへの苛立ち。
今の相撲が持つ閉塞感を打破するには二人の横綱以外に、もう一人スターが必要だろう、と…。
まあ、相撲ファンなら誰もが思いましたよね、多分。

期待できるのは稀勢の里、豊ノ島の二人しかいません。
把瑠都は怪我、豪栄道は若いのに簡単な勝ちを欲しがる悪癖がある。
でも、稀勢の里は大勝ちがまだ出来ない。ジリジリと強くなっているが圧倒的でない。
豊ノ島は大勝ち出来る魅力があるが、いかんせん、背が低すぎる。
安美錦、大好きだけど、大勝ちは、ねぇ。

ン、琴欧洲の調子がイイの?
だったら、相撲が面白くなるソレが一番の近道ジャン。
だつて、かつてそうなりそうな時期があって、あの時、相撲人気は少しだけ上向きかけたんだから。
なんて、ネ、思ったわけサ。
朝青龍を破れば、何か、相撲界にこれまでとは違った機運が生まれるような気がしたんだよね。
特に、今場所の朝青龍の相撲は良くないし。
どこか落日の気配を漂わせ始めた横綱に引導を渡す存在になれたら、欧洲君復活はあり得るぞ、と僕は思ったよ。

そして、思いは通じた。

ただ、今日の白鵬戦はいかがなモノだろう?
どうしても先に上手が欲しかったという思いは解るのだが、跳び加減の変化技に出たのは好きじゃないな。
こういう勝ち方はクセになって、相撲がだんだんキレイでなくなる危険な勝ち方だ。
勝ってもこれからの向上につながらない白星だ。
特に、今場所のように調子を上げてきている時は正面から堂々とぶつかっても勝てるはずだ。
そして、そういう勝ち方で星を積み上げていないと力士として大きくなれない。
折角、悪癖になりつつあった「張り差し」も出さずにイイ星を積み重ねてきたのに、勝ちにこだわりすぎた今日の相撲を僕は買わない。
ただ、勝たないとどうにもならない局面だったので、ファンとしては辛うじてOKにせざるを得ないか、という残念な勝ち方だな。

ところで、欧洲君、これで優勝に王手、かというと案外そうでもない。
明日の安美錦は曲者である。相撲巧者だ。
そして、翌日が安馬。小さい身体の力士を欧洲君は苦手にしている。
ここに、予定外の豊ノ島を連れてこられると安馬よりなお小さいから実は難敵である。
全員、対戦成績で欧洲君を上回っている相手ばかりだと思う。
番付は下でも相撲が上手い連中ばかりだ。

ただ、昨日までの相撲を取れるなら、3日の内2日勝てば良いのだから初優勝は明日の安美錦戦いかんだ。
いやー、見たいよ、琴欧洲の優勝姿。
3年前に夢見ていたことが現実になりそうなんだから、もう、居ても立ってもいられないよ。

そして、特筆すべきは欧州君の相撲がこれまでに見たことがないほど丁寧になっていることだ。
こういう長身の力士は大味な相撲になりやすいので、大きいのに丁寧になると、膝の故障をネックにしなくても良くなるかも知れない。
今場所の快進撃の理由は突然、相撲に丁寧さが加わったことだ。

「恥知らず大関」というひどい記事を書いた新聞があるが、それに発憤したのならソレはソレで良かったかも知れない。
カド番2回で恥知らず…? 
オレはそんな書き方は許さないけどね。(おお、怒ったせいで元気出てきたかも)

そんな力士はこれまでいくらもいたのに琴欧洲には何故冷たい?
相撲記者の記者らしい視点はどこにあるの?
ハワイ勢にもなかった「大きな身体で丁寧な取り口」くらいの記事は優勝したら、でイイけど書いてやってよね。もし、相撲を見る目があるのなら、だけどサ。

ともあれ、白人初の優勝、という記録の他に、モンゴル出身力士以外で初めて相撲が上手くなった外国人力士として記憶される力士になる可能性も出てきたかもしれない。
致命的な膝の故障を抱えているので、ファンとしては浮かれきれてはいないのだが、久しぶりに、なんか嬉しい。

2008年5月20日火曜日

24000回のキッス

♪1秒のキッスを1日続けたら24000~ 
イェーイ・イェッイ・イェ・イェ・イェッ・イェッ…

計算間違いで有名な、ただ語感だけで騙しちゃおうとした可愛い歌。
高校の頃から今に至るも愛唱歌の一つだ。

ところで1日がテーマのアメリカのテレビシリーズ『24』第5シーズンがただごとでない面白さだ。
今シーズン分だけ見ても充分楽しめると思うんだけど、これまでの4シーズンを知っているとなお面白い。

今シーズンは第1話でパーマー大統領が暗殺されたことから、すべての「世界」から消えていたCTUの敏腕捜査官ジャック・バウワーが否応なしに現場復帰をせざるを得なくなるという始まり。
彼を現場に引き戻すためにテロ組織は彼の存在を知っていると思われるCTUスタッフを狙う。
前シーズンまで大活躍だったCTUの退役女性スタッフ、ミシェルは殺され、ジャックの頼みの綱である夫のトニーは瀕死、CTUの有能女性オペレーター、クロエだけがクールにたち動き、ジャックの復帰に手を貸した後、命からがらCTU本部に辿り着く。
ところがジャックがフランクと名を変えて身を隠していた先で世話になった女性ダイアンの息子デレクがジャックを不審に思い、後をついてきてしまったことから二人揃ってテロ騒動に巻き込まれることとなり…、という息もつかせぬ展開だ。

まあ、このドラマの定石通り、犯人グループは常に内通者をCTU本部と大統領の身辺に配備していて、政府の情報は漏れ続け、ジャックはさらに危機に陥って行くのだが、今シーズンのとりわけ優れた点としてはジャックのロマンスがきめ細やかに描かれていること。

特に第五話。
ジャックの元恋人オードリーがダイアンの取り調べに当たるシーン。
オードリーはジャックが死んだモノと思っていた。だが、目の前の女性、ダイアンと暮らしていたらしい。オードリーは平静でいられない。

取調室のガラス越し。近づいてくるジャックが見える。
オードリーは聴取を中断してジャックの元へ足早に近寄る。
取調官の態度にダイアンはジャック(彼女にとっては油田で働いていたフランクでしかない男)とオードリーにかつて何かがあったらしいと察する。
ふとよぎる哀しみの表情。上手い。

オードリーはジャックに歩み寄り、生きていることを知らなかったこと、その情報を信じていたこと、に悔しさと後悔を滲ませる。
抱き合いたい二人。だが、何とかこらえる二人。
ウーン、切ない!

僕はこの短い2シーンを見ていて思わず泣いちゃったんだよね。
今シーズンはジャックを演じるキーファー・サザーランドがプロデューサーに名を連ねているので、24時間「リゲイン」マンの不死身の活躍だけでなく、人物相互の心の綾にまで迫ろうとしているのが解る。
手に汗握るサスペンスの中に細やかな情愛が描かれて、見応え充分だ。
役者としてはただ駆け回り撃ちまくるだけでなく、芝居のしどころが欲しいのは当然なので、役者がプロデューサーに噛んだことで、主演以外の役者たちまで随所でイイ芝居を見せている。
極上のシーズンである。

話は変わるがアメリカのゴルフ・ツアーで活躍する今田竜二君がついに初優勝したね。
以前にも数回書いたことがあるけど、14歳の時、単身アメリカにゴルフ留学して、大学生の頃、かなり活躍が期待されたんだけど、中退して1999年、プロに転向するも、結局は下部ツアーを転戦。
そこで実績を残して2005年からツアーに参戦すると徐々に力をつけて2年前あたりから上位に食い込むようになった。
去年は惜しくもプレーオフで破れるようなこともあって、優勝は時間の問題と見られていたわけだが、先週、その通りになった。
去年あたりはシード60位あたりでも日本の賞金王と同じくらいの賞金額を記録していて、今年はシーズン序盤だというのにもう2億4000万円を稼ぎ、順位もランク4位に上げてきた。
31歳。
青木、丸山、に続いて日本人わずか3人目の優勝記録である。
でも、身体の小さい日本人がアメリカで勝つことがどれくらい難しいことなのか、彼の軌跡を見ていても容易に察することが出来る。
藍ちゃんは初日二日でいいところにつけても最終日で崩れるパターンが続いていて、なかなか勝機が訪れないが、腐らずに頑張って欲しいモノだ。
今田選手の優勝は彼女にとっても大きな励みになると思うのだ。

大相撲の大関・琴欧洲も昨日までは絶好調である。9連勝。
「24」で括ろうとしたんだけど、今年はもう「25」歳になっちゃってたね。
今場所は相撲が落ち着いていて、何がこの人にこれほどの変化をもたらしたのか知りたくなっている。
強いとこの人の優しい貴公子顔が一段と輝いて見えるのも嬉しい。
こちらもブルガリアヨーグルトを食べ続けてる甲斐があるってモノだ。

国技館。枡席はまずまずだが、それでも平日は結びの一番になるまで、全席が埋まっていることがない。
これでもチケット情報は完売なんだから、会社やタニマチがまとめ買いしてただで配っても、来ない客が相当数いる、つてことよね。
安い席は相変わらずガラ空き。

雨・風がまだ荒い。
24時間闘えますか? ちょっと無理そう。

2008年5月18日日曜日

君に涙とほほえみを

どうも調子が上がらない。
昨日は血圧が上がったまま下がる気配が無くて午後3時頃から蒲団に入ったままになってしまった。
降圧剤は常時服用しているので、上がったまま、というのは最近はなかったことなので、ちょっと動揺してる。

6時からマンションの理事会の予定が組まれていたが、欠席させて貰うほどの調子悪さ。
睡眠薬を少し多めに飲んで9時頃、寝付いたと思うのだが、午前2時前には目が覚めてしまった。
冷やし中華を作って喰った、しかも二人前。さらにしかも、これでは中一日おいての連日メニューではあるまいか。オリジナリティの乏しいこと。
ただ、こんなことでもしないと卵焼きなんて一年に一回も喰わずに過ごしてしまう。まあ、別に卵なんて喰わなくてもいいんだけどサ。

昔は書くネタがないととにかく外に出た。出さえすればネタは見つかった。
今はなるべく外に出ない。イヤ、ちっとも出たくない。引きこもり老人になりつつある。
なので、書くことがない時は実際に何もない。

字幕付き映画が見られなくなっている、ということくらいかな、引っかかったニュースは。
これも既に前に書いている。
この頃の子は字が読めない、文字から連想がふくらまないので、読めたとしても意味が解らない。
だから洋画を見る客は当然減るのだと。
その通りになって、一昨年は洋画の観客数を邦画の観客数が上回った。
去年はまた逆転して元に戻ったけど、ヒットシリーズの上映があったからで、実は吹き替え版の方に客が入っている。

世界的にも吹き替え版の方に客が入ってるのよ、なんて訳知り顔で言う人もいるが、教育を受けられなかった人たちが客になってる他国と比べて、国民皆教育の国で吹き替え版の方が客が入るなんて恥ずかしくない?
まるでアメリカに不法入国したメキシコ人みたいだよ。
出稼ぎのために国を出た人たちが故国恋しさに自国の言葉への吹き替え映画を見るのとワケ違うんで、字幕が読めない、読めても文字の意味が解らない、という若者が多いことの方を重要視すべきなんだ。

ある会社で「通常との差異が認められた時は機械の操作を停止せよ」という注意書きの「差異」という字は読めたけど、「差異」の意味が解らなかったので機械を止めなかったために100万円の損害を出した大卒がいた。
会社が不安に思い新入社の10人に調査したら全員意味が解らなかったので、これでは1000万の損害が出る、と知って、会社は今、大卒社員に中学生の漢字ドリルをやらせてる、って話がある。

それが日本の現実だ。
渡辺謙も工藤夕貴も若者ってほとんど知らないのよ。洋画見ないから。
日本人がやっと海外に出て活躍できるような時代に入ったと思ったら、次代を担う人材たちは外国になんか興味がなかった、ってわけ。
日本で頑張ってれば外国の方から逆に引きが来るケースもたしかにあるので、まあ、国内でシコシコやってりゃいい、って分野もあるわけだけどサ。
そこでは海外に出るために流した汗の尊さは忘れられてるので、先人に対する尊敬心も全然ないしサ。
なので、どんな先人たちの努力があって、海外からその分野に引きが来るようになったかも考えてない。美味しい汁だけ吸うわけサ。
「移民」のことなんて興味もないから「移民切手」のデザイン問題が、なんてニュース、ニュースそのものの意味が解らなかったらしいよ。
「移民?」「切手?」「ブラジル?」「なにソレ?」という感じみたいよ。

時代が進むにつれて日本人の島国根性は逆に助長され始めてない?
その内、「鎖国」でも始めるんじゃないかと心配だけど、「アメリカン・アイドル」の踏み絵をやらされる前には死ぬつもりなんで、まあ、イイヤ。
って、年寄りはこうしてどうせ先に逝くんだから、というのを理由にして物申さなくなるのよね。

2008年5月17日土曜日

AUDIO DAY DREAM


ゴミを出して郵便受けを見るとフィル・ステイシーのアルバムがアメリカから届いていた。
彼が本選の時、一番力を発揮したカントリー・ソングのアルバムでレーベルを見るとバッキー・コビントンと同じ会社だった。
ナッシュビルあたりでは高名なレコード会社なんだろうな。
これで『アメリカン・アイドル』第5&第6シーズンのファイナリスト6人のアルバムを買ってしまった。


『phil stacey』(Lyric Street)
第6シーズンの6位、フィル・ステイシーのデビュー盤である。
妻の出産と予選が重なったが、予選を優先してハリウッド行きを決めた青年だ。
僕はこの青年の役者みたいな変質者顔が大層気に入って最初から応援している競技者の一人だったんだけど、やっとデビューだ。
彼のために書かれた新曲ばかりなんだと思うけど、カントリー・ソングで個性を出すのはとても難しい。
上手く歌えていても、聞き終えるとどれがなんという歌だったか解らなくなることが多い。曲の趣向が似ているせいだと思う。
それでもレオン・ラッセルのようなロック歌手がカントリー・ソングに取り組んで見事な成果を見せたこともある。際立った個性としてはケニー・ロジャースの例だってあるしね。
フィルだって今の感覚で仕上げる力は充分持っていたはずだ。
曲調はなるほど新しいのだが、聞き終えた感じは昔からあるカントリー・ソングを歌ってみました、って感じで、特別な彼らしさを感じることは出来なかった。
何故だろう?
まあ、上手いので決してソンしたとは思ってないけどね。

『bucky covington』(Lyric Street)
第5シーズンの第8位バッキー・コビントンはノース・カロライナのロッキンガム出身。
有名な車のレース場があったんだけど、客の入りが悪くてレース場が他所に移った後は寂れる一方で、バッキーの活躍だけが町民の心の拠り所だとか。
双子だったと思うけどとにかくそっくりな顔の兄弟がいて、いかにも性格の良さそうな子だった。
「クィーンを歌う」の回で審査員評はむしろ良かったくらいなのに落ちてしまったが、とにかくこの子のデビュー盤は買ってやろうと思っていた。
仕上がりはフィルと同様カントリー・ソングなので突出した出来ではない。

『ELLIOTT YAMIN』(Hickory Record)
エリオット・ヤミンは第5シーズン第3位。
堂々たるものなんだが、競技の最中からこの青年に傑出した上手さは感じなかった。
TOP9あたりから常にBottom 3に入っていた印象があったほどだが、不思議な底力で勝ち抜いた。
若年性糖尿病かなんかでひどく苦しんだ過去を持っていたと思うが、優しげな青年で誰もが応援したくなる個性だった。
このアルバムはラストの『ソング・フォー・ユウ』くらいしにしか彼らしい上手さは感じることが出来ないんだけど、全体的にはまとまりが良いと言えるかも知れない。
インディーズ史上最高の売れ行き、ってのはどういう記録なのかな?
よく解らない。
※と書いたあとで『ビルボード』のチャートをあたったら、昨年「インディーズ・アルバム」部門で1位にランクされ、シングル『Wait for You』はPopチャートの5位まで上がったんですねぇ。
大したモンだ。

『DAUGHTRY』(RCA/日本ではBMG)
エリオット・ヤミンに負けて第5シーズン第4位に終わった時は会場中が驚き、審査員も驚き、本人が一番驚いた。
大絶賛の中での敗退だったからだ。
クリス・ドートリー。バンド名を「ドートリー」としてデビューした。
第5シーズンではこの青年だけが圧倒的な声の艶とテクニックを持っていた。
ひと声聞いた瞬間に「ウメェ!」とうなる歌声で、レコーディングしたらあれよあれよという間にアルバムが150万枚。それが去年2月のことで、実は今週もまだ27位。ビルボードのアルバムTOP50に77週連続チャート・インしている。
08年度のグラミー賞では最優秀ロックアルバムの候補になっていたが小さな賞をひとつ貰ったくらいで終わったような気がするが、このアルバムは一種の名盤だ。
予選の時、彼のおかみさんが言った。
「彼は子持ちのあたしと結婚してくれた優しいひとなの。彼は歌をあきらめた。でも、アタシは夢が叶った。今度は彼に夢を叶えて欲しいの」
まさしくアメリカン・ドリームだ。それも超弩級の!

『BLAKE LEWIS /AUDIO DAY DREAM』(ARISTA/日本ではBMG)
ブレイク・ルイス。第6シーズンの第2位。
ラブレターの表に書いた恋人の名前より、ブレイク・ルイスという名前を書いた回数の方が多いかも知れない。
去年、そういう惚れ方をした。
手術に臨む前の半年間、体調は最悪だったが、彼の歌声を聞くだけでずいぶん助けられた。
なんだろう? なんだか気に入ってしまったのだな。
選曲のセンス、自分のスタイルへのこだわり方、圧倒的なものは何一つ無いが僕が一番くつろげる種類の声質。
テレビというメディアに出遭って以来、こんなにテレビで会うのが楽しみだったタレントはいない。
アルバム自体は騒ぎにならないかも知れないが僕はこれが大のお気に入りだ。
こんなに気に入ったのもデミス・ルソス(元アフロデティス・チャイルド)以来かも知れない。デミス・ルソスだって日本で人気が出たことはなかったわけで、イイさ、僕はそういう趣味なのサ。

『jordin sparks』(JIVE Record/日本ではBMG)
第6シーズンのウイナー、ジョーダン・スパークス。
初めは目立つところが全くなかったが、回を追うごとに上手くなっていって、ついに1位候補だったメリンダ・ドゥーリットルを追い抜いてしまった高校生。
優勝をかっさらった勢いのままレコーディングしたこの一枚は実は現在アメリカで流行ってる歌をパクリにパクった感じがするくらい耳慣れた曲調が多いのだが、この子の上手さはただごとでない。
アルバムは既に50万枚を超えたという。それだけの勢いはたしかにある。
『No,Air』(ビルボード最高位3位)『Tatto』(ビルボード8位)『This is My Now』(同15位)などが1枚のアルバムからシングルカット。

みんなの次のアルバムが楽しみだ。
メリンダ、クリス・リチャードソンらを早く聴きたいものだが…。

2008年5月16日金曜日

カリフォルニアの青い空

久しぶりの青空なので洗濯をした。
通常は乾燥機にかけるのだが、珍しく物干し竿に乾してみた。
銀行で記帳。5日から出納帳がホッたらかしだった。
指圧院にも行きました。30分2,000円。
西友で買い物。メモしていったのにメモを見ることを忘れてしまい買い忘れがいっぱい。
クリーニング店で洗濯物の受け取り。
冷やし中華が食べたくなったので卵を焼き、ハムとキューリを切って、まあ、そこそこ美味しく食べた。紅ショウガは買い忘れた。このメニューとは関係なく、買う予定に入っていたのだが…。

持ち歩きの音楽プレイヤーにエリオット・ヤミンとバッキー・コビントンを加える作業をしている内に開け放しておいた室内が涼しくなってきたので、洗濯物を取り込んだ。
結果は日射し弱すぎ!
11:00~4:00まで乾しておいたのにパジャマのポッケが乾いてまへんがな。

CSの「バイオグラフィ」番組で『探偵マグナム』のトム・セレックを。
健さん共演の『ミスター・ベースボール』で日本にもやってきたが、アメリカではコケたらしい。
『スリーメン&ベイビー』は良くできた作品だったよね。

夜は映画『トランス・アメリカ』を。

トランス・アメリカ Transamerica ('05)
監督:ダンカン・タッカー
出演:フェ リシティ・ハフマン/ケヴィン・ゼガーズ
    フィオヌラ・フラナガン/バート・ヤング

長い間、性同一性障害に悩み抜いたスタンこと現在名ブリーは、カウンセリングも受けて、今週末、悲願の性転換手術をすることになった。
ところがロサンゼルスで暮らす彼にニューヨーク市警から一本の電話…。
17歳の不良少年トビーが彼を唯一の身元引受人にしているというのだ。

実は少年は「売春」容疑で捕まったのだが、彼はブリーが大学生の時、一度だけ寝たクラスメートとの間に出来てしまったらしい子供。
ブリーは子供の存在を知らされていなかったのだが、実の子であることはどうやら疑いようがない。
徹底的に無関係を装い通してロサンゼルスに連れ帰り、まともな職に就かせて、親の役目を果たしたのち、キレイさっぱりおサラバしようと企んだブリーだったが…。

NY→LA間を車で移動し、何とか週末に手術を受けようとするのだが、道中はトラブルの連続。
しかも手術のために飲んでいる薬の作用で頻繁にトイレに立たなければならないから、息子にいつ男とばれないかとブリーはヒヤヒヤしっぱなし。
親としての愛情はあるのだが、息子が時々見せる男臭さがイヤでイヤでたまらない。

と、まあ、見ている方にとってはブリーがどんな風に親であることを息子に気づかれ、その時、どんな風に対応し、そのシーンはどんなに感動的か、というところにしか興味の持って行きようのない話なのだが、あらゆる意味でこの映画はそのあたりを裏切り続ける。

僕はもっと大感動物語を期待したが、それも裏切られた。
釈然とはしないが、その裏切り方がちょっと新しい。
ラストはヘナヘナと床に崩れ落ちてしまうほどの脱力ストーリーである。
だが、なんか憎めない。「うん、これもありだよね」といった映画だ。
話そのものは良くできていて、不承不承だとしてもラストの処理に頷かざるを得なくなるくらいまで観客を納得させている。
つまり、話の運び方に力がある。

ただ、ひとつだけ不満があるとすれば、この演技でアカデミー主演「女優」賞候補になったフェリシティ・ハフマンのキャスティングだな。
彼女は本物の「女優」なので、「女」になりたがっている「男」には、やっぱり見えないんだよねえ。
演技的には本当にキチンとこなしていると思うし、男優がこの役をやるとついつい喜劇タッチにせざるを得なくなるので、女優を使うのは多分正解なんだろうけど、やっぱり女優の演る「女になりたい男」は、最初から女にしか見えないんだよね。
見た目がもう、しっかりと女なので、いつばれるかという危険やスリルが大分薄まっている。
というか、どう見ても女過ぎて、これが手術前の男なんだとすると、なんか違和感があるんだよねぇ。

でも、男がこれを演れるかというと、すぐバレちゃう感じにしかならないんだろうな。
その点では良くできた方に入れないとイカンのでしょうね。
ま、そこ以外に特別な不満もないわけだし…。

一風変わったテイストの映画としてはお奨めです。

2008年5月15日木曜日

ロッホ・ローモンド

『ミス・ポター』 Miss Potter('06)
監督:クリス・ヌーナン
出演:レネー・ゼルウィッガー/イーワン・マグレガー

「『ピーターラビット』の生みの親、ビアトリクス・ポターの半生を描く感動のトゥルー・ストーリー」
という惹句で売った映画だが、不思議だな、山場というものがまるでない「映画としてこれでイイのかよ」という作品なんだ。
だけど答えは「これでイイのだ」なんだよな。

映画はミス・ポターが出版社に「ピーターラビット」の絵を見せているシーンから始まる。
出版社としてはまるで興味がないんだけど、経営者兄弟は出版を決める。
それは彼らの末の弟が自分にも出版の仕事をさせろ、と言っているからだ。
売れない作品を弟に与えて早々に失敗させ、体よく自分たちの仕事場から追い出そうという魂胆だ。
というのも、弟は嫁のもらい手がない姉と二人で母親の相手をして日を過ごしている。
弟はこんな環境から抜け出したいともがいているのだが、兄たちは母親の面倒見を彼らに押しつけておきたいのだ。

ミス・ポターも意に染まぬ結婚相手を押しつけられて、イギリスの階級社会の中でもがいていた。
成金貴族の娘に来る縁談の相手なんて、どこかおバカな男しかいないことを彼女は知っている。
嫁に行かずに女が一人で生きて行く方法はないのか?
好きな絵を描いて生きては行けないのか?
作者と編集者。こうして二人の魂は静かに寄り添い始める。

なんか、悪くないんだよね、テイストが。
心にすんなり落ちてくるんだ。
劇的な緊張感が全然ないので、その内ダレると思っていたのに、どういうわけだか、アクビひとつせずに面白く見終えてしまった。
昔だったら、途中で怒り出しちゃったろうな、こんな静かな話。
激情を露わにしない全体の作りにきっと腹が立ったに違いない。
もう少し泣き叫んだらどうよ、とも思うのだが、それは「ピーターラビット」の作者の世界観には似合わないんだよね。
最愛の恋人は静かに死に、死に顔さえ映らない。
そして静かに次の恋人が現れる。

最愛の恋人の姉と魂が呼応し合うシーンも静かで良い。
男の求愛を受け入れるシーンも良い。
全編が清潔な作りで、恋愛映画につきものの性的な匂いがキレイさっぱり取り払われている。
なんか見事というしかなくて、静謐な気品まで漂ってくる。
この静けさに文句を言おうものなら「こういう映画は高潔な心の持ち主にしか解らないのよ!」と怒られそうな感じさえする。
その意味ではちょっと敷居が高い感じがしないでもないのだが、見終えた感じは「マッ、いいか」なんだよね。

イギリスの雲の重たい空はなんか好きになれないんだけど、この映画は割合空の高い好天の日に撮影されていて、イギリス湖水地方の緑したたる風景が堪能できる。
イーワン・マグレガーはいつもながら歌のシーンが良い。
この映画には歌が2曲しか登場しなくて、それも作品全体を静かなものにしてるんだけど、たった2曲の歌の1曲が『ダンスを教えて』で、最後のクレジットに被って流れるのが『あなたがダンスを教えてくれた時』なのがなかなかイイ趣向だ。

『ピーターラビット』についてはよく知らないけど、絵のファンと僕のようなジジババ領域に踏み込んだ年齢の者には飽きずに見られるんじゃないかな。

2008年5月14日水曜日

ブルー・ベルベット~美悪の花

「花祭り会場にケシ数十万本=ポピーの種に混入か-下妻市の公園・茨城」
夕べ、そんな記事がネット上に流れていました。

夏の花…芥子(ケシ)。

美空ひばりさんの人気曲、 昭和26年2月発売の『私は街の子』には、「窓に灯りがともる頃にいつもの小道を歩くと、赤い小粒の芥子の花があの街角でひらいてる」と歌われています。
現在では熟す前の実が阿片の原料になることから栽培が禁止されている種類もある「芥子の花」。
昔はそこら中に咲いているポピュラーな花だったことが判ります。
今回のは「アツミゲシ」という種類だそうですが、以前、栽培禁止種の「ソムニフェルム」とかいうケシを確かめようとしたら、ほとんどの本から削除されていて、とうとうあきらめたことがありました。

栽培されては困るから資料としても扱わないのか、栽培が禁止されて絶滅したはずだから外したのか、軽々に判断はできません。
でも、既にいないのに『恐竜図鑑』などはあるわけで…。

芥子の花。
学校の帰り道にケシ畑がありました。きれいな花でしたねぇ。
紫にピンクを加えたような薄い極上の和紙をクシャクシャッと丸めて、もう一度、丁寧に開いて、しわを指の腹でなぞるように消すと、その花になるような、妙にそそる花でしたよ。
なんか、イケナイ花なのだとは判りましたね。
当時は栽培禁止になっていなかったので、堂々と畑に咲いていたわけですが、イケナイものは子供ごころをもとろかすイケナイ香りをそのカラダ全体から放っているのだ、ということを僕の防衛本能は既にキャッチしていた。

栽培禁止、と知った時、ホラね、と思いましたもの。

2008年5月13日火曜日

悲しき雨音

低気圧がやってくるとてきめんに眠くなる。
フーッと海底に沈んで行くように眠気が襲う。
抗っても瞼が落ちてくるのでいつの間にか寝ている。
そのおかげで睡眠時間に狂いが生じて、気がつくといつもこんな時間に起きていることが増える。
もう、一日が無駄で無駄でどうにもならない。

台風がやってきているというので買い物に出た。
買い物ついでに洗濯物を出した。
パンツ、厚手のシャツ1,薄手のシャツ2で1,200円。500円の割引カードを使ったので、ずいぶん得した気分だ。
西友で清涼飲料水とシュガーカット、ピザ、レタス、パン、牛乳、その他その他。

ラジオの原稿を書くためにシネフィル・イマジカで放送していた『アクターズ・インタビュー/イアン・マッケラン』、ヒストリー・チャンネルの『巨樹は語る』と『金門橋』を見直した。

まあ、ついでなので『アクターズ・インタビュー』シリーズの『ヒュー・ジャックマン』『シャーリーズ・セロン』も見てしまい、さらについでだからマーチン・スコセッシが撮った『ボブ・ディラン/ノー・ディレクション・ホーム』とTVドキュメント『フランク・キャプラのアメリカン・ドリーム』も見てしまった。
原稿を書く時間がなくなってしまったが、でも、書かずに明日に回すと明日は一日中雨の予報。
原稿の〆に間に合わなくなるので気力を振り絞って1日分を上げた。

忘れそうなのでメール送信してしまい、『レドンドの風』の今日分に取りかかり、『アラビアのロレンス』を書いてみた。

これからTVのミニ・シリーズ『キル・ポイント』の3、4回目を見る。
元アメリカ軍の兵士たちが銀行強盗を企てる話で1時間ずつ8話分続くのだからかなりの大作だ。
俳優はこの計画のリーダーで元・軍曹のジョン・レグイザモ以外は誰も知らない。
1、2話を見たら止められなくなってしまって、なかなか緊迫感のある展開なんだけど、大義はあるとしても強盗にアメリカ批判されてもナ、という部分はまだ打ち消せていない。
大義は大義としても、完全犯罪のつもりがもう死者を出しちゃってるし、戦場のトラウマという理屈ですべてをOKにするわけにも行かないしネ。
これからの駆け引きでアッと言わせる展開になってくれれば嬉しい、と思ってる。

明日あたりはPower Pointを覚えてスクリーン上で授業しなきゃ、と思ってたんだけど、これじゃまたダメだな。

2008年5月11日日曜日

ご挨拶

「本日の店主」を独立させました。
「レドンドの風」との違いをどうするかなど何も決めていませんが、日常的な報告をこちらで、少しまとまりのある話を「レドンド」で、ということかなぁ、などと漠然と考えています。
まあ、今度はレスがつけられるので、前よりはコミュニケーションの行き来もあるかと…。
よろしくどうぞ。