Blakeが結構お利口であることは何度かここで自慢させてもらった。
ただ、この頃、気になるのは「ちょっとお利口すぎないかい?」という心配だ。
たとえば彼はインストラクターが一度教えただけで、「お座り」「待て」「伏せ」を覚えた。
だが、彼がそれを正確にこなすのはインストラクターの前でだけ。
インストラクターがいない日(つまり大半)の僕の前では彼は「お座り」と「待て」を省略してしまう。
何かご褒美が出そうなときは最初から「伏せ」の態勢で待っている。
「お座り」からやり直させようとすると「なら要らない」とばかりに「お座り」の姿勢のまま中空を見つめて、何10分でもそうしている。
僕も意地になってジッと彼の顔を見つめたまま無言でいたが、根負けした。
気に入らない食事は決して口をつけない。
あまりにそういうワガママが多いので食べるまで食器をそのままにしておいたら、3日間、何も食べなかった。
この時も僕が根負けして新しい、味の違う缶詰を上げたら、数秒で完食した。
コレなら喰うのだ、と思い日を置かずにあげたら、また口をつけず、未だにどの缶詰とどのドライフードが好きなのか判らない。
食事の途中で何か他のことが気になると途中で食べるのを止めてしまうので、時々、隣の猫に全部食べられていたりする。
なので、彼が一日、どれくらい食べるのかも正確には判っていない。
こんなに食べたり食べなかったりなのに目方はキチンと8.5Kgにまで増え、ウンチは相変わらず大量にする。
さて、Blakeが忠実な番犬であることを僕はこの頃シッカリと認識しつつある。
というのも彼は僕が1階でテレビを見ている間は寝込まない。
戸を開けてトイレに立ったり、寝るために2階に上がろうとすると小屋からノソッと現れて、「ちゃんと起きてたよ」という意思表示をする。
僕の階段を下りる足音で彼は小屋から出て、「お座り」の姿勢で玄関の戸の前で待ち受けている。
そんなわけで、僕は1階でのテレビ鑑賞は早めに終えて、最近は2階の仕事部屋で見ているのだが、用事で階下に行くのもひかえ始めている。
だって、どんな時間でも眠そうな半開きの眼をして、小屋から出てくるんだもの。
可哀相でしょうがない。
こんなBlakeなので見知らぬ人にはよく吠える。
その吠え声が気になって僕は仕事中、しばしば声のしている玄関辺りを見下ろす。
ところがつい先日見てしまったのだな、彼の泣き声の真実を。
ある日僕は1階で書類の整理をしていた。
いつものようにBlakeが吠え始めた。
僕がそばにいることが判れば、彼は僕に不審者の報告をしなくて良い訳だから、僕は大抵、「Blake! 判ったよ!」と声を出す。、
さて、最近、彼が鳴いているとき、2階から道を見ても、誰も通っていないことが何回かあった。
彼の無駄吠えがちょっと気になっていた。
その日、僕は彼の鳴き声に返事をしないでそっとガラス戸のそばまで寄って行き、外を見た。
案の定、道に人影はない。
なのに、Blakeは吠えている。
多くの場合、自分の視界から人影が消えた途端、吠えるのを止めているのに、なぜかいつまでも鳴いている。
そして、見てしまった。
彼は鳴けば必ず僕が顔を見せる2階の窓をチラッと盗み見ながら鳴いていたのだ。
つまり、僕が1階にいる限りは僕の存在を近くに感じていて、そんなに吠えなくてもすむのだが、2階に行ってしまうと彼にとっては距離感が出来すぎてしまって、かまって欲しくて仕方がないのだな、多分。
これまでもそのために無駄吠えしていたことが度々あったのだと思う。
僕は知らずにまんまと乗せられていた訳だ。彼の言いなり。
ちょっとショックだった。
と言って嫌いになってはいないけど。
僕が彼で遊んでいるように彼も僕で遊んでいると思えばイーヴンってことか、と…。
でも、ショックだったよ。←まだ言ってる。
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