2012年2月29日水曜日
不憫なRobin
我が家にまた犬がやってきた。
生後3ヶ月。柴犬。親は血統書付きらしい。
「親は」であって、「この子が」ではないようだが確かに育ちは良さげ。
まあ、飼い主の育ちが悪いのだから犬の血統なんか云々しても始まらないけどね。
名前をつけないといろいろ不便なことが多いので「ロビン」Robin とした。
ロビン・シックRobin Thickeという歌い手から採った。
2002年デビューでベートーベンの『交響曲第5番(運命)』をイントロに使った"When I Get You Alone"という歌があり、これをブレイク・ルイスBlake Lewisが『アメリカン・アイドル シーズン6』で歌った。
早速、Robin Thicke(当時は「Thicke」という名)のファーストアルバム"A Beautiful World"を買ったのだがヤク中が歌っているみたいな奔放な作品群で良く言えば多彩、悪くいえば方向性が見えないアルバムだった。
もしかして、これ、ヤク中には見える「美しき世界」を歌ってるのか? と思ったこのアルバムはアメリカでは失敗に終わったらしいのだが僕はなんだか気に入ってしまい、続く2枚目と3枚目のアルバムもAmazonに注文した。
2枚目は品切れのままついに入荷せず、という結果だったがサードアルバム"Something Eles"は手に入れた。
21世紀に入ってからの僕の音楽LifeはBlake Lewisから始まっていると言っても過言ではなく、彼が競技中に歌ったティム・マッグロウTim McGraw (カントリー・ミュージックの大スター。その後映画『幸せの隠れ場所』でサンドラ・ブロックの夫を演じた)もマーク・アンソニーMarc Anthony (歌手で女優のジェニファー・ロペスの夫。ラテン界の大スター歌手)もマルーン5 Maroon 5 (来日公演の切符が30分で売りきれる人気グループ)も彼が歌ったおかげで僕は興味を持ち、いずれも気に入ってアルバムを購入した。
なのでBlakeの弟分となる子犬は連想から即座にRobinと名付けた。
さて、ではRobinはなぜ我が家にやって来ることになったのか?
それは僕がBlakeを手に入れたのと同じ場所で起こった。
2年半前のある日、僕は隣町の(この辺では比較的高級な)中華料理店にいた。
その料理店にはなんだか無性に可愛い犬が玄関前に鎮座していて、そいつの頭を撫でていたら僕は突然、犬が欲しくなり矢も楯もたまらなくなった。
妹が自分の家の犬を譲ってもらった家に電話したところ、4匹ほどいるというので早速見せてもらってBlakeを飼うことにした。
一昨日のことだ。
その妹が彼女の会社の「社長」(僕にとっては愛称だが、実際にも「社長」)とその店で夕食を摂っていた。
そのとき、店のオーナーから子犬が4匹生まれたという話を聞かされた。
僕が頭を撫でていたあの可愛い犬の子だ。
当時、そいつはまだ小犬だったわけだがあれから2年半。子供ができても不思議じゃないワね。
で一匹だけ雄がいるという話を聞いた「社長」は猛烈に欲しくなってもらってきちゃったんだ。
妹の会社は設計事務所で実は「社長」、茨城のとある寺の住職なんだが、お寺の用事以外は今でも建築家としての仕事場をこの町に持っている。
さて、犬を貰った「社長」は喜び勇んで帰路についた。
ところが、昨日の朝、義弟が玄関を開けたら前夜、自宅へ戻ったはずの「社長」の車が置いてある。
「社長」は仕事が立て込んで家に帰れないときのために妹夫婦の家の離れを借りているのだが、なんと小犬もそこに連れ帰っていた。
訳を聞いて笑ったね。
「社長」は奥さんにひどい剣幕で叱られて犬を飼わせてもらえなかったらしい。家にも入れて貰えなかったというのだ。
そりゃそうだ。
「社長」が仕事に出ている間、犬の世話をするのは他でもない彼の奥さんなんだから。
どうしよう…。社長は悲しげに呟いた。
なぜなら妹の家でも犬を飼っている。
とても2頭は飼えない、と言う。
そう聞かされてしまったら「じゃ、僕が2,3日預かってBlakeと喧嘩しなさそうなら飼ってもイイよ」と言うしかないではないか? 甘い? そうだろうな。
Blakeは貰ってきたときが1歳半を過ぎていて、正しい躾を施すにはちょっと遅かったのでこの子を上手に躾けたらBlakeがそれに習ってくれるかも、なんて考えたのだ。
Blakeは友達がいなかったのでこの来客を手放しでもてなした。
しかし、つきあい下手なのですべてが過剰になってしまい、やがてこの客に鬱陶しがられる羽目に陥った。
小犬はまだ爪を研ぐ習慣がない。Blakeが近寄ってくるのをいやがって小犬は鋭い爪でBlakeの顔をひっかく。
さすがのBlakeも悲鳴を上げて、二匹はそっぽを向き始めた。
ところが、小犬はなかなかしたたかでBlakeの注意がそれている隙に彼の朝飯をバリバリ喰い始めたんだ。
いや、すごい喰い方で皿の残飯は一気に空になった。
Blakeが食べ残して放ったらかしていたパンのかけらにもかじりつき、庭のあちこちに残っていた食べ物はきれいに姿を消した。
午後からは日が陰り始めて急に寒くなったので家の中に入れたが、その途端、ムリムリっとウンチ。ウンチというよりかなり立派なウンコ。Blakeの3分の1位の体だが、量はBlakeのⅠ日分を凌ぐほど。
ご飯はBlakeが滅多に食べないドライフードが好みらしく、あげた途端に喰い終わる。
Blakeも対抗しようとしてドライフードに口をつけてみるのだが、やはり好きにはなれないらしい。
小犬の食欲はBlakeとは比べものにならないほど旺盛だ。
その上、目を離した隙に小便。しかも廊下に。
それを見ていたBlakeは自分のテリトリーを侵害され始めたと思ったのか、なんと自分の小屋の入り口に小便をかける始末で、その直後から家の中でションベン合戦が始まってしまった。
と言うわけでか細い声だがやたらに主張するその小犬には叱るための名前が必要でしたのサ。
しかし、Robin!と呼ぶたびBlakeが飛んでくる。明らかに嫉妬している。
Robinを抱き上げるのを邪魔しようとしたりもする。
「Blake、君は兄さんなんだからRobinの面倒も見てやってね」というと僕の膝に頭をすり寄せて「その子だけ可愛がらないで僕とも遊んでね」と訴えかけてくる。
RobinはRobinでしつこいくらい自分の可愛さを僕にアピールする、
なんだかその牽制のしっこに疲れ果ててる内にⅠ日目が暮れた。
夜、Blakeがキャンキャンと吠え立てるので階段を降りるとそこには細いが大量のウンコ。
BlakeはRobinの粗相を僕に知らせているのだった。
「その前におまえが誘導して廊下じゃないところでウンコさせんかい!」
と思ったが、それがわかるBlakeなら自分も台所で小便しないよね。
その夜の内に再び同量のウンコ。3回目だが、ドッグフードの袋を見たらおよそ3日分の量を与えてしまってたようだ。喰えば即、出す、という体なのか?。
今朝は大雪。
ベランダの手すりの上には10㎝ほどの雪が積もっていてTVでは熊谷5㎝なれどこのあたりではその倍か?
BlakeとRobinの勢力争いはますます激しくなっていてRobinはどうやら気が強げ。
僕の後を追い、二階にいれば降りてきてくれ、と細いが鋭い声で僕に強制する。
僕が従うまで止める気配はないから僕が渋々降りて行くと当然Blakeも飛んできて、自分の優先順位を主張する。
さすがの僕も音を上げて妹に「飼い続けるのはちょっと無理だ」と伝えたのだが、「もう少し置いといたら仲良くなるかもしれないし」…。
うーん、どうかなあ。換毛期に入り始めた二頭からはやたら毛が落ちるし、僕を独占しようとする互いへの示威行為が妙にウザったい。
暮らした月日が長い分Blakeへ傾く僕の心は否定しようがないので、となるとRobinが不憫。
さて、どうしようかと思い迷う内、二日目も終わろうとしている。
もし、このRobinを欲しい方はご一報くださいな、という飼い主募集日記になってしまったなぁ。
そんなことを綴っているとき、「向島チューズデイ」では悪役になってしまっている叔母の訃報が届いた。昨夜11時に亡くなった。79歳だった。
犬にかかずらわってる場合ではなくなった。
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