2009年2月23日月曜日

100%SO…かもね

アカデミー賞の結果

中継が始まって程なく書いた日記に『Boy from OZ』とタイトルした。
単純にヒュー・ジャックマンのトニー賞受賞作のタイトルのつもりだったのだが、主演男優賞は『ミルク』のショーン・ペンだった。

ショーン・ペンが演じているのはゲイであることをカミングアウトし、後に暗殺されたサンフランシスコ市長ハーヴェイ・ミルク氏である。
つまり、『Boy from OZ』に複数形の「S」を付けて『Boys from OZ』とすればミルク氏もその中に入る。

「OZ」は『虹の彼方に』ある国だ。
「虹」はレインボー。
「レインボー・カラー」と言えばそのまま「ゲイ」を象徴する色。
『虹の彼方に』はゲイの国に行くことを夢見る悲しい歌だ、という解釈があって、この歌を、夢見る少女のようには歌わない歌い方、というのもある。

ジャズ・ナンバー『私の青空』を「家路を辿れば楽しい我が家」風に歌わず、あの陰鬱な声でまんま歌って、見事に帰宅拒否症の熟年親父ソングにしてしまったのは高田渡さんだが、オズの国から来た男の子たちが歌う『虹の彼方に』の解釈と高田渡的『私の青空』は発想に共通点があると思う。

ショーン・ペンの受賞の時、『ミルク』の脚本家が瞳を潤ませている姿がインサートされたが、ひどく感動的だった。

日本映画『おくりびと』が外国語映画賞を獲った。
バラエティ畑の放送作家小山薫堂さんのホンだ。
快挙である。
バラエティの達人たちの映画界進出成功例では『踊る大捜査線』の君塚良一さんがいるが、こういう快挙は後に続く放送作家たちにイイ刺激になるはずだ。
青木研次さんの『独立少年合唱団』も心に残る。
(ま、青木さんはドキュメント畑だが)
彼らは放送の世界に生きる後輩達に希望をもたらしてくれた。
彼らのような優れた才能達が放送というメディアを支えているのをテレビは忘れて欲しくないと思う。

今、不況による予算削減で「構成作家の代わりなんて日本語が書ければディレクターでも務まるんじゃない?」とばかりにバッサバッサと斬り捨てられているが、僕の経験では僕の代わりにディレクターが書き始めた番組は一年で終わったけどね。
なるべく他のメディアに才能を持って行かれない方がイイと思うよ。

話は戻るがショーン・ペンの受賞スピーチはいかにもこの人らしい背筋のシャンとした物だった。
彼を1990年頃、そう、マドンナと結婚するかしたかの頃、僕は既に彼を気に入っていて、あるテレビのAD君の前で激賞したら、彼は今でも僕を尊敬してる、と言ってくれる。
彼は今や海外のミュージシャンドキュメントで賞を貰うほどのディレクターに成長しているので、僕の自慢の種なのだが、彼の言い分はこういうことだ。
「あんな時期にショーン・ペンを褒めた人なんていないじゃない」
目敏いのだけがオレの取り柄なんで…。

ペンがミッキー・ロークを讃えたのも、なんか泣けたな。

ケイト・ウィンスレットも主演賞を獲ったし、華やかで順当で、今年の授賞式は久しぶりに見ごたえがあった。
ジョリー=ピットが獲ればもっと華やかだったけどね。
二人に代表されるように美男美女で、興行力もあって、しかも上手い俳優が今年は沢山いて、これがアメリカの底力。
ここではあのイカしたモックンでさえ地味に見えてしまうんだからなぁ。

あ、そろそろ仕事仕事。
声を大にして言おう。
日本映画の才能達に、「おめでとう!」と、心から。

1 件のコメント:

ainapooh さんのコメント...

あ~かぜさん;うれしいなぁ~!こういう話題になると冴えますね~切れますね~いつものことですが、かぜさんのコメントによってワタシが感激したモノが反芻され増幅され一粒で二度美味しい贅沢を味あわせてくれます。ありがと!!
今年のアカデミー賞、素晴らしかった!なんだろう品格があって見ごたえ充分(日本の方々の受賞のおかげもモチロンだけど)。娘と『ヒュー・ジャックマンは男をまた上げたね~』と言い合ってたんです。構成・舞台が素晴らしい。構成がビル・コンドン(シカゴの脚本家) 舞台がデイビッド・ロックウェル(NYの売れっ子建築家)さすがソフィスティケイトなショーを紡ぎだしてますね。主演助演それぞれの男優賞女優賞で過去の受賞者が5人出てきて今年のノミニーへの賛辞を贈るっていう設定…コレいいなぁ~ショーン・ペンの応援演説したのがなんと!デ・ニーロなんですから!!あとビヨンセ。彼女は本当にエンターテイメントの申し子、女神。ヒューとのステージは圧巻でした。…あ~もっとたくさんあるけど、今からサブタイトルつきの録画版をゆっくり見てまた感動します。「本日の店主」にこの話題書いてくださってありがとうございました。