2013年2月26日火曜日

2012年度アカデミー賞授賞式


今のところ、横になっているのが一番楽なので日がな一日ベッドの上。
日常生活は完全に死んでいる。
社会への窓はテレビとネットだけ。
これで誰かがメシを作ってくれるなら僕も引きこもり人間になれると思う。

そんなわけで昨日は「第85回アカデミー賞」の授賞式を見てた。
レッドカーペットでは夫ベン・アフレックについて語るジェニファー・ガーナーに目が行った。
彼女は『エイリアス』(Alias /日本のビデオタイトルは『二重スパイの女』2001-2006放送)の主役でブレイクした女優で、僕はそのドラマの大ファンだった。『24』同様、1話見逃すと話が判らなくなる緊迫感に魅せられすべて録画して見るようになった。録画が習慣になるとその作品への思い入れも違ってくるので、僕のこのシリーズへの評価は世間のソレよりずっと高い。
... ヒット・シリーズの常で終わり頃には収拾がつかなくなり始めていたが、それは承知で最後まで面白く見終えた。
彼女はスパイとしてどこの国にも潜り込むため、変装名人という設定だったから、日本潜入編では芸者になったこともあるのだが、僕的にはシリーズ通しての唯一の失敗がこの芸者姿だったと思う。
背は高すぎるし、頬は赤く塗りすぎだし、着物は似合わないし、という無茶な芸者。
日本人にはすぐバレる変装だったのでその回は話自体が成立していなかったのだが、なぜかお話としては彼女は二重スパイとして生き残っちゃった。
シビアに言えば彼女は日本で死んでる。(^.^)

まあ、そんな裏話はイイ。
ジェニファーは『エイリアス』のヒットで映画に続々と主演。
ベン・アフレックの大コケ主演作『デアでビル』で共演して彼の妻になった。
ま、そんな話もどうでもイイが僕の話は大体どうでもいい話ばかりなんだよ。

今回のアカデミー賞の主演男優賞候補にブラッドリー・クーパーがいる。
実は僕はジェニファー・ガーナーと共に彼のファンでもあるのだが、クーパー君は『エイリアス』にとっても大きな役でイレギュラー出演していた。
彼は時々しか出てこないのだけど、新聞記者でジェニファー演ずるシドニーに半分恋してる切ない役どころ。
大親友のシドニーのことが心配で心配でルーム・シェアしてたりする仲なんだが彼女がスパイであることに全く気づいておらず、なぜか災いに巻き込まれて行く彼女を蔭に日向に助けようとする妙に良いヤツ、なのだった。
そして、彼が眼鏡を外すと、まあ、ありがちな設定だが、すンげえ二枚目。
しかし、そのことにはシドニーも本人も気づいてないまま話はトットコ進んでしまい、とうとう最後まで誰も彼の二枚目ぶりに気づいてやらないままドラマは終わってしまった。
この番組の熱心な視聴者だけが新聞記者ウィル・ティッピンの人の良さと顔の良さだけを心にとどめて次に会える日を楽しみにしていたに違いない。
少なくとも僕はそうだった。

ところが久しぶりに見た彼はなんだか勿体ない色男になってしまっていた。
2009年のサンドラ・ブロック主演『ウルトラ I LOVE YOU!』の相手役がソレで、二人は共にゴールデンラズベリー賞最低スクリーンカップル賞を受賞する羽目になってしまった。
しかし、サンドラはこの年『幸せの隠れ場所』でアカデミー賞主演女優賞も貰っちゃうと言うヘンな活躍ぶり。
エエッ,サンドラはイイとしてブラッドリーはどうなっちゃうんだいと思ったら、ほぼ見捨てられてた同年公開の『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』が映画ファンの間で評判になってDVDで大ブレイク。そして彼もまたコメディ映画で注目の的となるのだった。
ま、ここ数年はセクシーな男優として評判で得な役どころが多く、だから逆にアカデミー賞なんかとは無縁のヒット俳優なんだと思い始めていた矢先のことだ。
『世界に一つのプレイ・ブック』の大ヒット。
見るよ、ティッピン君、いやクーパー君。『エイリアス』ファンはみんな喜んでいると思うよ。

ジェニファー・ガーナー、ブラッドリー・クーパー、と何か嬉しい顔ぶれに続いて僕が2000年以降で一番好きな映画『プリティ・プリンセス』のプリンセス,アン・ハサウェイが助演女優賞、おまけにお気に入りウルヴァリンことヒュー・ジャックマンも主演賞候補、と時を忘れたね。
しかも『レ・ミゼラブル』出演者たちの大コーラス。喝采だ!
ラッセル・クロウの歌が下手だと評判らしいが、アイツ、デビュー前も今もロック歌手だぜ。演技の方が上手かったってだけだ。

そして、最後の最後はすべての賞から見捨てられてたベン・アフレックが見事な大逆転。『アルゴ』のプロデューサーとして作品賞受賞のスピーチ。
さすがに泣いたね、僕は。
主演賞でノミネートもされず、監督賞はまさかのアン・リーに持って行かれ、『リンカーン』との作品賞争いではとっくに負けたとされていたのに…。それにしてもジョージ・クルーニーが俳優仲間に信望が篤い、という話がよく判るステージ姿でした。
共同プロデューサーとしての存在ははベンよりも大きかったに違いなく、出資額もベンより多かったに違いないよ、多分。
だが、彼はマイクを握って受賞の喜びを語ることなく,手柄のすべてをベン・アフレックに譲った。

ジョージは『ER』のダグ先生の時から大好きな役者だ。
女好きだが担当の小児科治療に関しては正義を貫く熱血先生でスターになった。設定からして得だよね。ソレも運の内だ。
僕らが子供の頃、大好きだった『カモナ・マイ・ハウス』『メロンの気持ち』『マンボ・イタリアーノ』の超人気歌手ローズマリー・クルーニーが彼の叔母さん、と言うだけで、僕なんかにはもうOK、みたいな肩入れできる素地が整っていたのだが、ダグ先生で全方位OK、みたいになっちゃった。

ベン・アフレックの弟ケイシー・アフレックは兄貴より先にジョージ・クルーニー主演の『オーシャンズ』メンバーとして活躍して、すでに2007年の『ジェシー・ジェームズの暗殺』でアカデミー助演賞の候補にもなってた。
兄貴としては焦ったよね。想像に難くない。
人気子役の兄の後追いで子役になっても兄貴の出演作でしか使ってもらえなかったような弟が脇で光り出し、おまけに子供の頃から大の仲良しだったマット・デイモンはアメリカを代表する人気男優として君臨してる。
ベンとマットは『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)で役者より先に脚本家としてアカデミー賞を貰っちゃったものの同映画で主役を演じ,主演賞にもノミネートされたマットと脇に回ったベンではその後の扱いに大きな差が出た。
ベンには大作がオファーされたが興行的には成功しても作品的評価の割れるものが多く、逆にマットは佳作小品で手堅く当てて、ついに『ボーン』シリーズで超一線級に踊り出した。
その頃にはケイシーと共に『オーシャンズ』の主要メンバーでもあった。

しかし、その間にもベンはコツコツと努力してたよ。
ジェニファー・ガーナーとの結婚がおそらく転機になっている。
役者としては2006年の伝記映画『ハリウッドランド』に自殺したテレビの『スーパーマン』俳優ジョージ・リーヴス役で出てるんだが、コレが哀しくて実に良い。大作の彼には見られない芝居をしてる。
2007年には『ゴーン・ベイビー・ゴーン』で映画監督デビュー。制作費を抑えるためか弟のケイシーに主演させてる。
弟は兄貴を真似て『容疑者ホアキン・フェニックス』というフェイク・ドキュメントを撮っているのだが、コレはダメだね。
『容疑者ホアキン・フェニックス』はホアキンがカントリー界の大スタージョニー・キャッシュの生涯を描いた『ウオーク・ザ・ライン/君につづく道』で大名演を見せた直後に「カントリー歌手になるのでもう映画には出ない」と宣言しちゃってこのドキュメンタリーだけを撮らせた,ということになっている。
どうも引退発言はこのドキュメント映画宣伝のためだったらしいのだが,そんな遊びをしている間にホアキン、ほぼ表舞台から名前が消えちゃってた。
しかし、ホアキン、主演クラスの俳優にしては亡くなった兄リバー・フェニックスとは似ても似つかぬ悪相なのだが、表現力は兄弟共通の資質らしく、芝居は上手い。
なんとブランクをものともせず、今回『ザ・マスター』で主演男優賞候補に戻って来ちゃった。

イヤー、今回のアカデミー賞、僕にはサイド・ストーリー的興味が汲んでも汲んでも尽きない感じで面白かった-。
まあ、この受賞のおかげでwikipediaのベン・アフレックの記述が一夜にして一挙に充実。良かったね。僕的評価で言えば、世間のコレまでの扱いが小さすぎたからね。
これからはクルーニー・ファミリーでも旧友マットと肩を並べられるだろう。

余談だけど1992年の映画『青春の輝き』はブレンダン・フレイジャー、クリス・オダネル、と共にマットとベンなど後の人気スターが大挙して出ているまじめな学園ものなんだけど、ベンやマットより目立つ役で出ている青年は松田聖子ちゃんのアメリカの恋人として騒がれ、後に吉本新喜劇にまでゲスト出演して逆にすっかり評価を落としてしまったジエフ・ニコルズ君だ。今や『青春の輝き』のキャスト表でも末端にまで落ちているが、討論シーンで一番目立っていたのは彼だけどなぁ。
あまりに平均的なイイ顔で売りの少ない個性ではあったが…。

まー,ジェニファー・ガーナーから始まってジエフ・ニコルズまで
僕の中だけでどんどん繋がって行くアカデミー賞。その意味では今年が一番おもしろかったかも。

頭位めまい症は相変わらず。
朝、指が起きない、というのは単純に年から考えたらリューマチでさあね。
治療の予定も真剣に考えなくちゃ。

2013年2月25日月曜日

緊急搬送されちゃった

救急車で緊急搬送

これは昨日のことです。

自分でも迂闊だと思ったのですが、夜7時頃、床がグルグル回り始めました。少しするとおさまったので、9時、突然メシが食いたくなってラーメンを作った。
いざ、食おうとした途端、またしても。ちょっとした吐き気も
今度はおさまらないので妹に電話。結局、救急車に来て貰うことに。
どこの消防署の救急車も出払っているという話で20分待ち。
ちょっと遠くの総合病院へ。
問診途中で気づいたのは料亭で食べた刺身。
鮭が入っていたのだ。
鮭にアレルギーがあると知ったのは昨年11月のこと。
そのことをここに書いたのが1月末頃のことなのに、とても油断していて食べてしまったのだ。コレまで何が起きたわけでもないのでね。

ま、いくつかの検査を終える頃には吐き気もめまいもおさまって、診断結果は「頭位めまい症」とかいうらしく、ちょっとした頭の角度で起きることがある症状なので耳鼻科を受けて下さいとのこと。0時前に帰された。

死ぬほどの重さじゃないな、と思ったんだけど、ちょっと覚悟したのは確か。
「頭位ナンタラ症」もありそうだが、このバカヤローは初めて発症したアレルギーじゃないのか、と疑っている。
それとも一周忌で故人の悪口を言ったから罰が当たったのか?


ここからは今朝のことです。

どうも頭位ナントカですね。
今日も朝からなってしまいました。
これから対策たてますのでご心配なさらず。
昏倒でもしなきゃ死にゃしない、多分。

2013年2月24日日曜日

法事


田舎に戻るまでこういうことに関わって来なかったせいで色んなしきたりに戸惑ってる。

今日の法事は向島の叔母の1回忌、らしいのだが本当にこういう数え方するんだっけ?
なんか昔、1回忌はお葬式そのもので、あとは3年目、7年目、13年目、に行うのだ、と教わった気がしてたんだけど、ソレ、間違
いですか?
これまで、2年目に呼ばれた記憶がないんだけど…。
皆さんのお宅ではどうしてますか?

法事から戻って、これを書き始めたらBlakeが妙にうるさい。
気づきました。この3日、用事続きで彼を散歩させてやるのを忘れてたんです。

戻りました~!
と、誰も待っていない家に戻るのは寂しいものだね。
まー、こっちおいでよ、と言えばシブシブやって来てくれる毛だらけの友達はいるワケだけど…。

と、書きながら、知らぬ間に居眠りしてるのはなんでだ?
この頃こんなことが増えてきていて、妙にじいさんになってきたような気がする。
でも、まだ「爺さん」と漢字で書くのには抵抗がある。ささやかだが…。

ま、今日は強風が吹いていて、読経、焼香のあと、お墓に行ったんだけど隣の竹林から竹が一本、根本から倒れていて僕らの墓
参を阻んでた。

隣町の料亭で食事して解散、となったんだけど、考えたら、なんか妙な集まりだったね。
叔母方の身内は誰も出席していない…。
息子や娘のように可愛がった甥や姪は? 犬猫より粗末に扱われた俺でさえ居るってのにヨォ。

やってあげないと叔父ちゃんが哀しがるでしょ、という想いだけでどうやらこれからも3周忌、7周忌、13周忌と続いて行く
らしいこの儀式
 …。
これまでは自分で答えが見つからないことは一切関わらず無視してきたが、田舎に戻ったらがんじがらめ。こんな形だけのこと
もう止めようよ、とは言い出しにくい。
それどころか、形だけのことにこそ心は籠めなくちゃ、と思ってる老いて丸くなり始めた自分もいるんで、なんとも厄介。
ほんとはこういう葛藤をこそお坊さんには上手に解きほぐして貰いたいんだがなぁ…。

ン………。
こっちに戻ってからこんなことにばかり直面してる。
まともな社会生活を送ってこなかったツケが今回ってきてる。

写真は我が家の墓。
なぜか僕が施主になってる。






2013年2月23日 携帯とにらめっこ

電車の中から 携帯で


今日は月に一度の病院掛け持ちの日。定期検診と歯医者さん。
10日ほど前にやった「心筋スペクト」という血管に欠陥は起きてないか、の検査結果も聞く。
皮膚科治療の後、循環器科へ。
問診後、調剤薬局で薬もらって1時間ほど目黒で時間潰しをして30年かかりつけの駅前の歯科へ。
昔は歯を磨き過ぎだと怒られ、今は歯の磨き方が下手だと怒られている。
終えてどこにも寄り道しなければ4:30位の電車で帰れる。
6:00前にわが家着でやっと2食目が食える。
歯医者の前にどこかで必死に歯磨きするのは嫌だから。
... そのあとradioの編集してwebにup。音楽番組なのに音楽なしにしなきゃならない。
サイマルラジオでリアルタイムに聴いて戴けると嬉しいです。

とにかく今日はダラーっと小忙しい1日です。

目黒の喫茶店で1時間の時間つぶし。
携帯で日記を書き続ける。


.御茶ノ水 手すりの考察

御茶ノ水駅にはエレベーターもエスカレーターもない。病院だらけの町なのに、だ。
駅のホームはもう広げようが無さそうだから仕方ないのかな、とは思う。
でも、手すりはどうにかならないだろうか?
僕は膝を痛めてから階段を後ろ向きで降りるしかなくなった。
するとねぇ、あの波形手すりはとても危険です。
階段に沿って波形を描いているので掴みっぱなしに出来ないのですよ。
一段ごとに手すりを持ちかえるという不便。
デザイン的な工夫は認めますがあれは昇る人専用。もしくは昇りながら落っこちそうになった人が慌てて掴むときに効果的な手すりです。
僕みたいにあの手すりに頼らなければならない人間や降りる人にはとても使いにくい。
地下鉄丸ノ内線への階段はもっと怖い。なんと途中で手すりがなくなります。というか踊り場ではないところで手すりが切れていて、1、2段降りるとまた何事もなかったように手すりが繋が...っています。
大震災のあとにエレベーターが至るところで止まり、初めてあの階段を使ったのだが、あわや転落しかけた。手すりが途中で無くなるなんて…。
本気で怖かった。

さて、もうひとつ。
お茶の水は駅前が車道に向かって傾斜しているがどの道も幾分どこかに向かって傾いている。
楽器店が並ぶ辺りは車道側に、丸善の横の細道は水捌けのためか気づかないほど緩やかに道の両側に向かって下っている。
道が平らな弧を描いている。
どこを歩いても石畳は凸凹で、イヤー、ものすごく疲れる。歩きにくい。
病院までのわずか何十メートルかのことなんだけど、僕は大抵途中で小休止する。
大きく息をして、サー、もう少し、と自分を奮い立たせる。
病院に行く日の体調とかあれこれ勘定に入れても他の町では経験しない疲れを感じる。

そして、最近は撤去されたのか、あまり人を見かけなくなったが、僕の病院への入り口となる一本道の始まりには何故か喫煙所があってタバコの煙が充満していた。
副流煙を吸い込むとすぐ不整脈を起こすようになった僕にはまさに地獄の一本道。
で、道順を変えたのだけど、そしたら妙に疲れる道だった、という次
まあ、歩行に不自由を感じようにならないと実感は難しい疲れなので皆さんはかぜ耕士を嫌いになっても御茶ノ水を嫌いにならないでください!

道の写真、とってくるべきだったねェ。気が利かんこと。

そしてまた電車。
遠い。
で、また携帯に向かう。


帰路

1日中、FBにかじりついてたらどうなるんだろう、と思いながら池袋発16:36に乗車。
17:41分頃わが家駅に着く。
いつもは歯科を済ませたあと「2時間位はものを食べないで」と言われるんだけど、今日は「30分は食べないで」だったので池袋東武のとんかつ「和幸」でロースカツランチ¥1.100ー。

「和幸」は蒲田時代、よく行った。いつも感心するのはパートのおばさんより学生や一般のバイトの男の子達の働きが良いことだった。
今時の若いのは偉いなー、と箸も進む感じだった。
池袋の「和幸」の働き手はほとんど女性。
よく気がつく人ばかりで、味噌汁とキャベツとご飯の無料お代わりの際、客を待たさないように誰かが必ず客席の片付けをしている。
客の出入りが頻繁で忙しいだけなのかもしれないのだがちゃんとした戦略のようにも感じられる。
とにかく接客が丁寧。
池袋と蒲田。どちらも東京の出口駅なんだけどこのおばさんたちの違いは何から来るもの?
本当は意味なんかなくてその店ごとのTOPの仕切りの問題なのかな?

…なんて僕は店でも持つ気なのか?
その気でなけりゃこんな観察、ただの暇潰しだろ! って、まあ、その通りなんだけど。

写真はロースカツランチ。携帯画像なので輪郭が曖昧。てか、下手。
久しぶりに、ご飯、味噌汁、キャベツの三点お代わりをした。
実に満腹。
.

   

2013年2月10日日曜日

ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女

 Game Change(2012 )

Directed by
Jay Roach

Ed Harris
Julianne Moore
Woody Harrelson
Sarah Paulson

2008年のアメリカ大統領選を描いた選挙戦モノの佳作TV映画。
共和党のマケイン上院議員は民主党の新星バラク・オバマの対抗馬として大統領選に出馬。副大統領候補として考えていたリーバーマン上院議員については各方面から反対を受けて断念せざるを得なくなった。
選挙対策本部長のデイヴィスとシュミットは、マケインのリベラル色や女性不人気を補える副大統領候補として、アラスカ州知事サラ・ペイリンを選び出す。
彼女は彼らの期待に応えてお披露目スピーチで全米の話題をさらうのだが……。
エド・ハリスがジョン・マケイン候補を、ジュリアン・ムーアがよく似たサラ・ペイリンを、ペイリンに翻弄させられる選挙参謀をウッディ・ハレルソンが、と過去にアカデミー賞にノミネートされたことのある実力派俳優たちが見事な芝居。
ペイリンに手こずる女性秘書サラ・ポールソンも良い味を出している。

ネガティブ・キャンペーンを嫌うマケインの潔白さと、本来なら味方であるべきペイリンがそのおバカさでマケインの足を引っ張る描写がサスペンスフルな味わいさえ醸し出している。
このバカ州知事さえ相棒に選んでいなかったならマケインはオバマのカリスマ性に対抗できたのだろうか? 
ソレはちょっと謎ではあるけれど…。
大統領選においてわずか 3ポイントでしかないアラバマ州の支持ばかり気にしたり、国際情勢にはまるで疎いくせにテレビ映りばかり気にする元準ミス・アラバマが選挙戦終盤、マケインの支持率の大半は自分が支えているとうぬぼれ、やがてはそれが幻想だったと気づかされ、ヒステリックに騒ぎ立て心を閉ざして行く様が上手く描かれている。
ここまで露わに描かれてペイリンは今後どう生きて行けるのだろうと同情したくもなるが良くも悪くもこれぐらいの自己顕示欲を持たないと政治家は務まらないのだろう。
マケインだけが傷つかずに済んだ一篇。
まあ、マケインは真実はいざ知らず、伝わってきた評価は孤高の潔癖派。この話自体が参謀たちの選挙回顧録なのだろうから、マケインは悪者には描けないわね。
もしかしたらベトナム戦争のヒーロー、マケインをこの TVMを見て好きになった人も多かったかも知れないネ。
日本ではタイミング良くアメリカの選挙戦に合わせての放送でしたが、アメリカでも放送は選挙戦が緊迫の度を増し始める去年の初め頃。
いや、さすが大作ドラマのケーブル局 HBO、上手く出来ていました。

先頃、発表になったゴールデングローブ賞では作品賞を受賞。
俳優陣では苦悩する選挙参謀を演じたウッディ・ハレルソンが主演男優賞候補、サラ・ポールソンはペイリンのあまりにお粗末な答弁を何とかさせるべく、マケイン陣営が彼女の元に送り込んだ秘書の無念を手堅く演じたが助演女優賞候補を惜しくも逃し、ペイリンを実物そっくりに演じ抜いたジュリアン・ムーアが主演女優賞を獲得した。

それにしてもペイリンさん、国政を論ずる場に出て行ける器にはほど遠く、美しすぎた州知事がメディアで評判になって,結果、身の程を知らされる格好になる顛末。
残酷な話なんだけど、何ともスリリングに選挙戦の裏側を描いて、TV映画もここまでやるか、という見応えのある一篇でした。

2013年2月4日月曜日

もう一人の僕


Twitterに〈かぜ耕士〉という人がいるが僕ではない。話には聞いていたが…。
なので僕はtwitterには手を出さずにおります。
まー、〈かぜ耕士〉さんは人気の名前らしくネット上のあちこちにいるんだけど本家(と言っても良いと思う。もう43年もこの名前なんだから)の僕はとってもズボラ。
親しい友人の所にしか滅多に書き込みしない怠け者。
twitterをやっている方は僕の名を見ても同名異人だと思って下さい。

ちなみにFacebookには下の写真を使っています。
'74年12月渋谷ジャンジャンにおける『小室等クリスマスコンサート』でのものです。
レコードジャケットも撮ってくれた栗原潔さんのカメラ。
実は30歳以降、1人でちゃんと映っている写真が少なく、複数人での写真をトリミングする手間も惜しかったため、まあ、人が見て昔の僕を思い出す写真はこれしかないな,と思いました。
今の写真を見せても誰だか判らんモンね。
それにしても僕は一人で撮られていないな、と呆れました。

よだれ


身体のあちこちが緩くなったことに関係があるのかないのか?

この頃、我が愛犬を撫でている時、ついつい「よだれ」が出てしまう。
同時に「コイツを喰ってしまいたい」との思いも湧く。
可愛くてしょうがない。
頭はあまり良くない(と思う)。
丸3年、一緒に暮らしているが、「散歩?」と質問すると驚喜乱舞して本人にも収拾がつかなくなってしまう。
 あまりにうるさい時は「お風呂?」と問えば即座に僕から遠ざかるので判りやすい。
 しかし、未だに「ご飯」と「外に出たい」の表現が同じで、僕には伝わらない。って、もしかして僕がバカなのかァ…?

ちなみに町のホームセンターの一画にあるペットショップで犬の頭を撫でていて,突然、売り物の犬の頭によだれを垂らしてしまったこともある。

愛犬の名はBlake(ブレイク)という。
2007年デビューのアメリカのHip-Hopシンガー、Blake Lewisの名にちなんでいる。
近所のおばあちゃんたちからは「なんでそんなにめんどくさい名前をつけたんだい」なんて言われてるんだが「つけた」んじゃなくて「Blake」と呼ぶために犬を飼ったのだ。
アイドルシンガーの名をペットにつけたがる少女の心理となにも変わんない。

近頃は僕の仕事部屋に寝ている。
僕もそばにいないと落ち着かなくなってきた。
共依存が始まってしまったようだ。

2013年2月3日日曜日

「鬼は内」神社

何の変哲もない、ほどよく寂れた我が村の神社が、近年、「鬼は内」と掛け声をかけて豆を撒く全国でも珍しい神社としてしばしばマスコミを賑わすようになった。
子供の頃は「キジンサマ」と呼んで節分や春祭りのたびに出かけていった身近な神社で「キジンサマ」は「鬼神様」なんだとずーっと思っていた。
だから「鬼は内」なんて言ってることも知らなくて,単純に祭の日には屋台が出て、その中に古本を売る店もあって僕は月遅れの『相撲』という月刊誌を定価より少し安い値段で買える日なんだという認識しかなかった。
この神社が珍しい神社だなんて誰も教えてくれなかったしね。

今朝、朝7時ぴったりに大きな花火が2~3発鳴って僕は飛び起きた。
毎朝5時55分から30分ほどベッドの枕の先20メートルのところで鳴るお寺の鐘の音にはすっかり慣れてしまい最近は目覚まし代わりにもならなくなっていた。
 しかし,花火ではたいてい飛び起きる。
 この村の行事はかなり暴力的な時間に設定されている。
 夏祭りの本番の日は集合が6時だったり、神社の掃除は6時半集合だったりする。
 とにかく花火で今日は節分なんだ、と気づいた。
 地震と雷に滅法弱い愛犬Blakeは寝室の戸をカリカリと引っ掻き、中へ入れろと訴えている。
 以後はベッタリと僕に張り付いて片時も離れようとしない。
 2~3日前から地震が頻発。恐怖に怯える日々が続いていたのに,またしても災難だ。

その彼を家に置いてだねぇ、僕はなんと56年ぶりにその神社を訪ねたんだ。
薄情な飼い主だ。
 イヤー、長い歳月の間に区画が変わってしまった町は全然神社への道順が判らん。
 昔、学校からの帰り道、仲の良かった初雁君チに寄ったりしたことがあるので方角はわかっていたからとにかくそっちに向かって自転車を漕ぎ、途中からは鎮守の森らしき背の高い杉の木を探して走った。
目指す場所は記憶よりずーっと遠かったし、昔みたいに3回曲がれば辿り着けるほど簡単な道順ではなくなっていたけど、なんとか行き着いた。

道には昔のように屋台が並んでいたけど、なんだろう、郷愁はまったく感じない。
初雁君チへの道は舗装こそされていたがそのまま残っていて、途中の沼もそのまま貯水池として整備され、お年寄りが釣り糸を垂れていた。

鬼鎮神社にはそこそこの参詣客がいたが,豆撒きは一体どこでやるんだろう?
お天気の割には風が冷たいのと、昼にまた何発かの花火がなりそうなので、観察もそこそこに急いで家に戻ったら、ちょうど正午。案の定,花火が上がって震え出すBlake。
懐かしさも中くらいなり節分会ってか。




崖っぷちの男

Man on a Ledge
(2012)

Directed by
Asger Leth

Sam Worthington
Elizabeth Banks
Jamie Bell
Ed Harris
Edward Burns

イヤー、面白い。最初から緊迫した空気に引きずり込んで徐々に犯罪計画の全貌を明らかにして行く。
交渉の手間取り方にチョッと緩さはあるが弟の危機との連動なので意図的な緩さなのかなと……。
兄ニックを演じるサム・ワーシントンには評判作『アバター』があるがルックス的印象は弱かった。
ダニエル・クレイグと最後までボンド役を争ったらしいが007としては少し甘過ぎか。ここではその甘さが生きている。
弟を演じるジェイミー・ベルは面白い脇というポジションを固めつつある感じ。『ジャンパー』『リトリート・アイランド』など『リトル・ダンサー』のエリオット少年もいつの間にか着実に大人の役者になっていた。

プリティ・プリンセス

The Princess Diaries 1 & 2
(2001) & (2004)


Directed by
Garry Marshall


Julie Andrews
Anne Hathaway
Hector Elizondo

 
タンゴとワルツの中間です。
じゃあ、ワンゴ?
 
なんでかこの映画、大好きだ。

ファミリー・ツリー


The Descendants
(2011)

Directed by
Alexander Payne

George Clooney
Shailene Woodley
Amara Miller
Kaui Hart Hemmings
Beau Bridges
Matthew Lillard
Judy Greer

The Descendantsは「末裔」の意。
ファミリー・ツリーは「家系・系図」なのでまずまずの日本語タイトルか?
良く出来た作品だ。
静かで切ない。
通常なら大声で怒鳴ったりののしったりしがちな物語なのだが誰1人大騒ぎをしない。悲しみをジッとこらえて言葉を飲み込み心に収める。
だが、映画は決して重たく、見るのも憂鬱な家族崩壊の一篇にはしていない。
家族への愛、家系への思い、カメハメハ大王の末裔としての誇り、そして何よりハワイへの慈しみに満ちている。美しい仕上がりだ。
なのに、不思議なおかしみが全編に漂っていて、それこそがハワイ・テイストなのかも知れない。
弁護士マットはハワイ建国の父カメハメハ大王の血を引くおばあちゃんを持っている。
そのために生まれた時から広大な土地持ちだ。
だが、その土地も7年後にはハワイ州に持って行かれることになっており、受託者である内に土地を処分しなければ宝の持ち腐れとなる事態に直面している。
マットはすべての係累、縁者を代表してこの土地で利益を得たいと思っている。
縁者の中にはその金だけが頼りの者もいないではなかったからだ。
だが、その広大な土地を売った途端、ハワイに一挙に荒廃が始まるのは目に見えていたが…。
そんな時、妻のエリザベスがモーターボートの事故で脳死状態に陥る。
仕事人間として生きてきたマットは突然、17歳と10歳の娘の生活に悩まされることになる。
長女は問題盛り、次女は生意気盛りでマットは学校から呼び出しを受ける。
彼らと家族をやり直そうとする過程で、長女の反抗は母の不倫を知った時からであることが判ってくる。
マットは娘二人と長女のボーイフレンドとを連れて不倫相手が休暇を送っているカウアイへと飛ぶ。
マットは不倫相手のスピアを追い詰めても胸ぐらを掴んで激しくなじるようなことはしない。
冷静沈着な、有能な弁護士であることが判る。
彼は毎日を忙しくしすぎて妻を退屈させた結果、彼女が不倫に走ったことに幾分かの負い目を感じていた。
義父はそれを楯にマットを責める。
お前だけが金持ちで、私の娘にボートも買ってやらなかったからこんなことが起きたんだ、と。
がマットは妻が不倫していたことを義父に暴露するようなことはしない。
切ない。
感情を露わにするのはすでに生命維持装置を取り外す段階に入った妻の病室でのことだ。
彼の怒りもつらさももはや届かない妻に向かって、だ。
全編通してBGMはハワイアン。
ダイナーで生演奏されるヨーデルが新鮮だったがこれは本土から来た客がウエスタンを聞かせたって設定のようだ。
この音楽群が切迫した場面でも見る者を深刻な気分に追い込んでしまわないのかも知れない。
娘の恋人シドのワンテンポずれた性格設定も面白い効果になっている。無作法な、でも正義感はある、という…。
マットのラストでの大英断には思わず拍手したくなるほのぼのした味わい深い仕上りだ。

原作者のカウイ・ハート・ヘミングスがジョージ・クルーニー演じるマットの秘書として出演している。
アカデミー脚色賞、ゴールデングローブ主演男優賞の他は割合世界の「小さな」映画祭で主演男優賞、娘役が助演女優賞、そして作品賞など数々受賞。
戴冠の小ささがむしろこの作品に似合っているような気がした。

ヒューゴの不思議な発明


Hugo
(2011)

Directed by
Martin Scorsese

Asa Butterfield
Chloe Grace Moretz
Christopher Lee
Ben Kingsley
Sacha Baron Cohen
Jude Law
Michael Stuhlbarg

映画愛にあふれるスコセッシ監督の感動の一作。
舞台はパリ駅。
パリ駅の壁の中で暮らす少年ヒューゴはオモチャ屋から部品をくすねては父が遺した精巧な機械人形を修理している。
彼の仕事は父の死後、叔父に押しつけられた、駅の時計を常に正しく動かすこと。

この映画は映画草創期の偉人にしてSFX創始者ジョルジュ・メリエスがパリ駅でオモチャ屋をしているらしき設定で始まる。
映画に詳しくない人には判りづらいかもしれないが、多少映画史をかじった人なら自動書記人形が「月世界旅行」でおなじみのあのイラストを描き出し、最後にジョルジュ・メリエスとサインした瞬間、あのおじいさんがメリエス? と即座に思うはずだ。
ただ、僕は最初、これはてっきり映画を愛するこの監督が作り出した風変わりな設定の一種の寓話なのだと思っていた。ところがどうもこれが実話らしき匂いになって行くので画面にどんどん見入ってしまった。正直驚いた。
実話と作話の融合がなめらかで若き映画研究家のメリエス発掘へのシークエンスではもう興奮が抑えられない。
後で知ったが、少年と少女の冒険は「お話」だが、メリエスに関する部分は実話に基づいているらしい。
イヤー、スコセッシの映画愛の気高さに圧倒される。
「時代」の偏執的なほどの再現はこの監督の特徴だが『アビエイター』などでは絢爛豪華なハリウッドの再現の度が過ぎて、現代の役者たちには昔日のゴージャスが全く欠け落ちてしまっていることを認識させてしまった。
しかし、このパリ駅と壁の裏側の描写は見事。
ベン・キングズレイを始めとする俳優陣もセットの重厚に負けない演技で見応えがある。
ヒューゴの父役にジュード・ロウを配するあたりも上手い。
ヒューゴの追憶の対象は最後まで印象を残しておかなければならないので美しい面影を持つ印象的な役者が必要だ。
少ない出番で役目を立派に果たしているロウはさすがだ。
『アビエイター』でもエロール・フリン役のチラッと出演で存在感を見せてたっけ。
『ボラット』の怪優サッシャ・バロン・コーエン演じる駅舎公安官の不気味さと少女クロエ・グレース・モレッツの穏やかな美少女ぶりが見終えた後も脳裏に残った。