血まみれgankoパパ
本日朝の9時、血まみれで隣町の病院へと救急搬送された。
火曜日は燃えないごみの収集日で、リハビリの日でもあることから、暑くても寒くても通常はごみ捨てついでにblakeとの散歩に出ることにしている。
ところが今日は紙ごみが重かったので、まずはごみだけ捨てて一旦、家に戻って、それから散歩しようと思った。
ところが、すっかりその気のblakeが扉の前に立ち塞がっている。
仕方がないのでやっとの態勢でごみを右腋の下と指に掛けて、左手に散歩道具一式とリードを持って家を出たのだ。
自分の思いが通った時の犬は狂喜してしまう。
いきなりリードをグンと引かれ紙ごみの紐が解けた。
悪い予感はしたのだが散乱の惨事はまぬかれ、ごみ捨ても終わり、僕らは楽しい散歩タイムに入ったのだった。
この一週間ほど、blakeの引き具合に変化が出ている。異様な力強さなのだ。
元々、僕は歩くのが遅いからblakeは力をセーブして道を8の字形に駆け回って僕の速度に合わせている。
僕は彼の気遣いに感謝して、常に言葉をかける。
「ありがとう、blake」
「お利口さん、blake」
ところがお利口さんでなくなる瞬間が1日の散歩では数回あり、1つは犬たちの散歩道でもある「遊歩道」に近づいた時だ。
彼は急に速度を上げる。
備えは万端のつもりだがその力があまりにも強い日があり、過去に一度、歩道で倒れ、体を擦り傷だらけにしたことがある。
2つ目は直線距離が続く平坦な道。
彼の足並みは徐々に早まり、僕も駆け足になる。
とは言え、僕の体調は足に左右されていると言っても過言ではない。体の中で一番不具合の起きているのが足だ。
「止まれ、止まれ」
僕は叫んでblakeのスピードを落とさせる。
無理や引っ張る癖がついてからblakeはややガニ股気味になっていてかつてのスラリと伸びたカッコいいフォルムは失われ、工事現場のガタイのいいオジさん風になりつつある。
そのガタイでの笑顔がまた妙に可愛いものだから、困ってしまうのだが…。
猫好きや動物嫌いの方は、何を抜かしておるのだ、このバカは、と思っているに違いないが無視して続ける。「愛犬家ってそういう風に勝手だよねえ」と言われたこともあるが、何言ってるか判ンない。←サンドウイッチマン風。
さて、3つ目が好みの子に遭遇した時なのは想像に堅くないだろう。
ただ、blakeは結構、マナーにこだわっていて、かわいい子が数十メートル先からやって来る場合には、目の前に来るまで正座して待つ。
可愛い子に限らず、大半の仲間にも相手に吠えられない限りは決して吠えない。時に例外があって、稀に、噛むこともあるのだが、「マ、なんてお行儀の良い素敵なワンちゃんなの」
が一般的な評価である。
でも、それは目の前に来るまでのことなのだね。
嬉しさMAXに達してしまうと制御が利かない。相手への情報収集がしつこすぎてかわい子ちゃんは辟易としてしまう。
もう2本のリードがこんぐらがってほどくのにかなりの時間がかかる。
その頃には、最初「もしかして血統書付き?」などと言ってくれてた奥さんも「マ、柴ちゃんじゃしょうがないか」と興醒めを通り越してもはやご機嫌ななめ。
僕は丁重に詫びてその場を辞すのが常だ。
さて、いつもの散歩道にblakeを見つける度、呼んでくれる友達がいる。
blakeの散歩道から80メートルくらい離れているので、よく通りがかりのblakeに気がついたな、と驚くほどの嗅覚(視覚なのか?詳しくは知らん)なのだ。
時々、訪ねると家の裏の小屋から庭まで鎖をジャラジャラさせながら跳んで出てくる。しばらく情報交換をするがいつもblakeが先に飽きて、帰路につく。
去勢しているのか、それとも同性なのか、実はblake、5回に1度くらいしかその声に応じない。
「お前冷たいね。お早うくらい言ってあげなよ」
僕は今日もそう言ったのだが彼は知らぬふりで無視した。
ところが急に気が変わったのだろう。いつもの道を抜け、線路脇にさしかかった時、突然、石段を駆け登った。5度1ワンちゃんチはそこからも行ける。
「危ないよ。ついて行けないよ」
僕はちょっと怒鳴りながら石段を登った。
息は上がっていたが、blakeは歩みを緩めない。
一目散に5度1ワンちゃんチの庭に走り込んだ。
庭の手前はセメント塗りの小さな駐車場で、僕の足はそこでもつれた。
駐車場と庭を分けているのは10センチほどの高さの車輪止めだった。
リードを持ったまま、僕は前のめりに倒れ、その車止めに頭から突っ込んだ。
痛いどころの騒ぎではない。車止めのセメントは角が尖ったままだったから、僕の顔の真ん中辺りがその角に激突する形になった。
鮮血が駐車場を染めた。
僕はぼんやりと5度1ワンコと楽しそうに遊ぶ可愛い我が家のバカ犬を見つめてた。
駐車場に車があったがその家の主人は出てきてくれなかった。
そして、こんな時に限って僕は携帯を持って出なかったのだね。blakeを連れてごみ捨てに行く心づもりはなかったからね。
仕方なく、血を滴らせながら家路を急いだ。
昨日も書いたけど、今、強い血液サラサラ薬を服んでいる。当然だが、血は止まりにくい。
家まで150メートルの坂道を必死で歩いた。
可愛いバカ犬はしきりに僕を心配そうにのぞき込む。つまり、彼は僕の歩調で歩けないわけではない。
いつもは元気があり余って、つい走ってしまうのだ。
まあ、家までは遠かったね。
車はひっきりなしに走って行くけど、こんな時、止まってくれる車はないね。
そればかりではなく、ようやく家に辿り着き、玄関で顔から血を吹き出させてる爺さんを見ても人は知らぬ顔をするね。
隣の保育園に出入りする児童の母親も、出勤途中の近所のお姉ちゃんも気づかないのか気づかぬふりか、みんな通りすぎて行く。
しかし、何度も言うようで恐縮だが僕は凶運だが強運の持ち主なんだ。
なんと、ウチの駐車場にお隣担当のケアセンターの車がやって来た。
本来は無断駐車だが文句を言ったことはない。余計なことは日頃から言わん方がいいネ。
「すみません。救急車を呼んでいただけますか!」
僕はありったけの声で叫んだ。
運がいいよねえ、僕って。やって来た車に乗っていたのは女性看護師さん二人だった。
お二人は手際よく応急処置を施してくれ救急車を手配してくれた。
こうして僕は隣町の病院まで搬送され、脳にも鼻の骨にも損傷ナシと診断され、午後2時、やっと家に戻ってきた。
blakeはさすがに申し訳なさそうな顔をしてキュイ~ンと鳴いたが、ベッドに横たわっていると寝室のドアの前で「僕はここにいる。早く遊んでくれ」というアピールをし始めている。
ま、反省は、ナイな、多分。
今日、恐縮しつつ笑いそうになったのは、搬送された病院の耳鼻科の先生。
喉に血が詰まっているので受け皿に「ペッ」とやったら、「ペッペッやってあんたの服が血だらけになるのは知ったこっちゃないけど、私の」で、やめたことだね。
「私の白衣まで汚れるだろ!バカ」
と言いたかったんだろうね。絶対、口調から「バカ!」と怒鳴りたかったんだろうと、ちょっと笑いそうになっちゃった。
失血死するかと思ったので、擦過傷と鼻の中が切れてるので鼻血が酷かっただけ、と判って余裕が出ちゃってスミマセン。
な、訳で今日のリハビリはお休み。明日の病院もお休み。
昨日の検査結果は来週末の予約まで待つことになりました。
ご心配おかけしますが、閑話休題もこんな話で誠に恐縮です。
3 件のコメント:
かぜさん、
緊急搬送と書いてあったのを見てヒヤリとしてしまいました、、うちの旦ツクもその頃搬送先に入院していたので。
大事なくて良かったです。
blake君にもおおいに反省してもらわないと今後のお散歩が心配です。
かぜさん、どうぞご無理されませんように。
お散歩は気をつけてくださいね。
怒れませんでした。
心配そうに振り返り振り返りしながら家まで戻ったので。
骨や脳に至らず本当によかったですね。
どうかお大事になさって下さい。
ドキドキ読み進めながらもところどころ面白表現があって
あぁ、大丈夫なのだなと思えることができました。
「可愛いバカ犬」が一番ツボです。
にしても、流血している人に対して
助けを求めなければ声をかける人がいないとは…
かぜさんが強運でよかった。
コメントを投稿