今のところ、横になっているのが一番楽なので日がな一日ベッドの上。
日常生活は完全に死んでいる。
社会への窓はテレビとネットだけ。
これで誰かがメシを作ってくれるなら僕も引きこもり人間になれると思う。
そんなわけで昨日は「第85回アカデミー賞」の授賞式を見てた。
レッドカーペットでは夫ベン・アフレックについて語るジェニファー・ガーナーに目が行った。
彼女は『エイリアス』(Alias /日本のビデオタイトルは『二重スパイの女』2001-2006放送)の主役でブレイクした女優で、僕はそのドラマの大ファンだった。『24』同様、1話見逃すと話が判らなくなる緊迫感に魅せられすべて録画して見るようになった。録画が習慣になるとその作品への思い入れも違ってくるので、僕のこのシリーズへの評価は世間のソレよりずっと高い。
... ヒット・シリーズの常で終わり頃には収拾がつかなくなり始めていたが、それは承知で最後まで面白く見終えた。
彼女はスパイとしてどこの国にも潜り込むため、変装名人という設定だったから、日本潜入編では芸者になったこともあるのだが、僕的にはシリーズ通しての唯一の失敗がこの芸者姿だったと思う。
背は高すぎるし、頬は赤く塗りすぎだし、着物は似合わないし、という無茶な芸者。
日本人にはすぐバレる変装だったのでその回は話自体が成立していなかったのだが、なぜかお話としては彼女は二重スパイとして生き残っちゃった。
シビアに言えば彼女は日本で死んでる。(^.^)
まあ、そんな裏話はイイ。
ジェニファーは『エイリアス』のヒットで映画に続々と主演。
ベン・アフレックの大コケ主演作『デアでビル』で共演して彼の妻になった。
ま、そんな話もどうでもイイが僕の話は大体どうでもいい話ばかりなんだよ。
今回のアカデミー賞の主演男優賞候補にブラッドリー・クーパーがいる。
実は僕はジェニファー・ガーナーと共に彼のファンでもあるのだが、クーパー君は『エイリアス』にとっても大きな役でイレギュラー出演していた。
彼は時々しか出てこないのだけど、新聞記者でジェニファー演ずるシドニーに半分恋してる切ない役どころ。
大親友のシドニーのことが心配で心配でルーム・シェアしてたりする仲なんだが彼女がスパイであることに全く気づいておらず、なぜか災いに巻き込まれて行く彼女を蔭に日向に助けようとする妙に良いヤツ、なのだった。
そして、彼が眼鏡を外すと、まあ、ありがちな設定だが、すンげえ二枚目。
しかし、そのことにはシドニーも本人も気づいてないまま話はトットコ進んでしまい、とうとう最後まで誰も彼の二枚目ぶりに気づいてやらないままドラマは終わってしまった。
この番組の熱心な視聴者だけが新聞記者ウィル・ティッピンの人の良さと顔の良さだけを心にとどめて次に会える日を楽しみにしていたに違いない。
少なくとも僕はそうだった。
ところが久しぶりに見た彼はなんだか勿体ない色男になってしまっていた。
2009年のサンドラ・ブロック主演『ウルトラ I LOVE YOU!』の相手役がソレで、二人は共にゴールデンラズベリー賞最低スクリーンカップル賞を受賞する羽目になってしまった。
しかし、サンドラはこの年『幸せの隠れ場所』でアカデミー賞主演女優賞も貰っちゃうと言うヘンな活躍ぶり。
エエッ,サンドラはイイとしてブラッドリーはどうなっちゃうんだいと思ったら、ほぼ見捨てられてた同年公開の『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』が映画ファンの間で評判になってDVDで大ブレイク。そして彼もまたコメディ映画で注目の的となるのだった。
ま、ここ数年はセクシーな男優として評判で得な役どころが多く、だから逆にアカデミー賞なんかとは無縁のヒット俳優なんだと思い始めていた矢先のことだ。
『世界に一つのプレイ・ブック』の大ヒット。
見るよ、ティッピン君、いやクーパー君。『エイリアス』ファンはみんな喜んでいると思うよ。
ジェニファー・ガーナー、ブラッドリー・クーパー、と何か嬉しい顔ぶれに続いて僕が2000年以降で一番好きな映画『プリティ・プリンセス』のプリンセス,アン・ハサウェイが助演女優賞、おまけにお気に入りウルヴァリンことヒュー・ジャックマンも主演賞候補、と時を忘れたね。
しかも『レ・ミゼラブル』出演者たちの大コーラス。喝采だ!
ラッセル・クロウの歌が下手だと評判らしいが、アイツ、デビュー前も今もロック歌手だぜ。演技の方が上手かったってだけだ。
そして、最後の最後はすべての賞から見捨てられてたベン・アフレックが見事な大逆転。『アルゴ』のプロデューサーとして作品賞受賞のスピーチ。
さすがに泣いたね、僕は。
主演賞でノミネートもされず、監督賞はまさかのアン・リーに持って行かれ、『リンカーン』との作品賞争いではとっくに負けたとされていたのに…。それにしてもジョージ・クルーニーが俳優仲間に信望が篤い、という話がよく判るステージ姿でした。
共同プロデューサーとしての存在ははベンよりも大きかったに違いなく、出資額もベンより多かったに違いないよ、多分。
だが、彼はマイクを握って受賞の喜びを語ることなく,手柄のすべてをベン・アフレックに譲った。
ジョージは『ER』のダグ先生の時から大好きな役者だ。
女好きだが担当の小児科治療に関しては正義を貫く熱血先生でスターになった。設定からして得だよね。ソレも運の内だ。
僕らが子供の頃、大好きだった『カモナ・マイ・ハウス』『メロンの気持ち』『マンボ・イタリアーノ』の超人気歌手ローズマリー・クルーニーが彼の叔母さん、と言うだけで、僕なんかにはもうOK、みたいな肩入れできる素地が整っていたのだが、ダグ先生で全方位OK、みたいになっちゃった。
ベン・アフレックの弟ケイシー・アフレックは兄貴より先にジョージ・クルーニー主演の『オーシャンズ』メンバーとして活躍して、すでに2007年の『ジェシー・ジェームズの暗殺』でアカデミー助演賞の候補にもなってた。
兄貴としては焦ったよね。想像に難くない。
人気子役の兄の後追いで子役になっても兄貴の出演作でしか使ってもらえなかったような弟が脇で光り出し、おまけに子供の頃から大の仲良しだったマット・デイモンはアメリカを代表する人気男優として君臨してる。
ベンとマットは『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)で役者より先に脚本家としてアカデミー賞を貰っちゃったものの同映画で主役を演じ,主演賞にもノミネートされたマットと脇に回ったベンではその後の扱いに大きな差が出た。
ベンには大作がオファーされたが興行的には成功しても作品的評価の割れるものが多く、逆にマットは佳作小品で手堅く当てて、ついに『ボーン』シリーズで超一線級に踊り出した。
その頃にはケイシーと共に『オーシャンズ』の主要メンバーでもあった。
しかし、その間にもベンはコツコツと努力してたよ。
ジェニファー・ガーナーとの結婚がおそらく転機になっている。
役者としては2006年の伝記映画『ハリウッドランド』に自殺したテレビの『スーパーマン』俳優ジョージ・リーヴス役で出てるんだが、コレが哀しくて実に良い。大作の彼には見られない芝居をしてる。
2007年には『ゴーン・ベイビー・ゴーン』で映画監督デビュー。制作費を抑えるためか弟のケイシーに主演させてる。
弟は兄貴を真似て『容疑者ホアキン・フェニックス』というフェイク・ドキュメントを撮っているのだが、コレはダメだね。
『容疑者ホアキン・フェニックス』はホアキンがカントリー界の大スタージョニー・キャッシュの生涯を描いた『ウオーク・ザ・ライン/君につづく道』で大名演を見せた直後に「カントリー歌手になるのでもう映画には出ない」と宣言しちゃってこのドキュメンタリーだけを撮らせた,ということになっている。
どうも引退発言はこのドキュメント映画宣伝のためだったらしいのだが,そんな遊びをしている間にホアキン、ほぼ表舞台から名前が消えちゃってた。
しかし、ホアキン、主演クラスの俳優にしては亡くなった兄リバー・フェニックスとは似ても似つかぬ悪相なのだが、表現力は兄弟共通の資質らしく、芝居は上手い。
なんとブランクをものともせず、今回『ザ・マスター』で主演男優賞候補に戻って来ちゃった。
イヤー、今回のアカデミー賞、僕にはサイド・ストーリー的興味が汲んでも汲んでも尽きない感じで面白かった-。
まあ、この受賞のおかげでwikipediaのベン・アフレックの記述が一夜にして一挙に充実。良かったね。僕的評価で言えば、世間のコレまでの扱いが小さすぎたからね。
これからはクルーニー・ファミリーでも旧友マットと肩を並べられるだろう。
余談だけど1992年の映画『青春の輝き』はブレンダン・フレイジャー、クリス・オダネル、と共にマットとベンなど後の人気スターが大挙して出ているまじめな学園ものなんだけど、ベンやマットより目立つ役で出ている青年は松田聖子ちゃんのアメリカの恋人として騒がれ、後に吉本新喜劇にまでゲスト出演して逆にすっかり評価を落としてしまったジエフ・ニコルズ君だ。今や『青春の輝き』のキャスト表でも末端にまで落ちているが、討論シーンで一番目立っていたのは彼だけどなぁ。
あまりに平均的なイイ顔で売りの少ない個性ではあったが…。
まー,ジェニファー・ガーナーから始まってジエフ・ニコルズまで。
僕の中だけでどんどん繋がって行くアカデミー賞。その意味では今年が一番おもしろかったかも。
頭位めまい症は相変わらず。
朝、指が起きない、というのは単純に年から考えたらリューマチでさあね。
治療の予定も真剣に考えなくちゃ。
1 件のコメント:
かぜさんならではのサイドストーリー、おもしろいです。
違った角度でみられます。
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