2013年7月27日土曜日
7月17日 下高井戸シネマ
この映画館には1996年ぶり位かもしれない。
アメリカのエロ雑誌『ペントハウス』の創刊者とアメリカ市民の表現の自由を巡っての闘いを描いた『ラリー・フリント』を見るためだったが、わざわざ出向いた甲斐のある一編だった。
こんな下劣な雑誌にも「表現の自由」を認めなければならないのか、と言う市民の苛立ちはついにラリー銃撃に発展し、男たちのソコを勃たせるたるためだけに作っていたような雑誌の編集長は下半身不随になってしまうのだった…。
日本でも漫画の世界でこうした攻防があったけど、この傑作が例に引かれることはなかった。
『ラリー・フリント』はミロシュ・フォアマン監督、ウディ・ハレルソン、コートニー・ラブ主演。是非一度ご覧ください。
映画各賞で作品賞、監督賞、主演、助演賞の候補になりながら、ほとんど取り零してしまった、僕的傑作です。
下高井戸シネマって多分、そういう作品が好きなんだと思う。
本日の上映作は『ザ・マスター』。
今年度のアカデミー賞で主演、男女の助演賞、脚本賞の4部門にノミネートされて、全部獲り損ねた。
監督はポール・トーマス・アンダーソン。
家族愛に恵まれない巨根少年がポルノ俳優となりそこで初めて安らぎと愛を知るという哀しい青春映画『ブギー・ナイツ』を作って評判になった。
「ポルノ映画」が「ポルノビデオ」に駆逐され始めた時代の描き方が秀逸。
「映画館」から「個室」「寝室」へ。その過程で失われたもの、生まれたものにまで思いを馳せてしまう、後を引く一本だった。
肉体派バート・レイノルズが再評価され、ジュリアン・ムーアの演技派ぶりと美貌が注目され、主演したマーク・ウォルバーグは一躍スターになった。これも僕的には傑作の一本。
今日の『ザ・マスター』はカルト宗教の教祖と第二次大戦のトラウマを抱えたアル中兵士の出会いと別れを描いたもので、これも哀切溢れる見事な仕上がり。
救いたいが救えない、信じたいが信じきれない男と男の哀しい巡り会い。
教祖は必死で自分を信じようとする男に『中国行きのスロウボートで』で行こうよ、と歌いかける。
当時、フレッド・アステアの映画で歌われ、ヒットし、後にスタンダード・ナンバーになるのだが、この映画の時代設定でいえば、ただのヒット曲である。
この歌の中身は純正のラブ・ソングなので、男が男に歌ったら、それは結構、異なものだ。
見ている者は一瞬、虚を突かれた感じになる。
男は言う。『次の世があったらね』
ちなみに「スロウボート」は「豪華客船」の事だけど、「叶わないこと」という意味もあるらしい。
こんなことを書いていたら電車が目的駅に着いてしまい、Facebookに一旦投書してしまったら続きを書く気がなくなって、別のこんな話を書いちゃった。
僕はどんな映画のパンフレットも買ってしまうんだが、アメリカでは映画館でパンフ売ってるの見たことないんですよね。
でも、パンフは作られてない訳じゃないようで『フィニアンの虹』『スターウォーズ』、両方とも本屋で買った。
アメリカの映画館でパンフ買ったことある人いらっしゃいます?
映画館のどんなところで売っているのか教えてください。
さて、今日もパンフを買おうと売店へ。
「パンフ下さい」
受付の女の子が言う。
「プレスシートならございます」「ン?」
聞き違えたのだと思って聞き直した。
「今はそう言うの? 昔はパンフレットと言ったんだけど」
「あ、イエ。パンフレットが売り切れなのでプレスシートを売るように、と映画会社の方から」
プレスシートは本来ならマスコミ関係者に配る(勿論、無料でね)宣伝用資料だ。それを¥500で売るとは…と思ったけど、まあ、表紙が薄手なことを除けば、どうせ資料として買うんだから、イイや。
彼女は付け足した。
「そんなわけですので中身はちょっと薄いかも知れません」
まあ、最近のパンフはシルバー料金くらいの値段を付けてる割には厚手で写真多用、資料的には不十分なことも多い。なので、マスコミ用資料として役目を果たしたんなら、それでも良いんじゃないの、と思って買ってきちゃった。
昔なら只で貰ってた物なんでバカバカしいと思えば腹が立つけど、シルバー料金が嬉しいのはこんな時だね。
パンフ買っても現役の時の値段にまではならないんだものね。
ちなみに下高井戸シネマは1日何回も上映するんだけど、その都度、上映作品が違う。
『ザ・マスター』は午後1:10-3:33の1回だけ。
てことはずーっと下高井戸に居続けて1日5本くらい別々の映画を楽しむことも可能なわけだね。勿論、入れ替え毎に外に出ないとならないのは面倒だけどもサ。
道理で売店前には最近では珍しくチラシがいっぱい。
シネマコンプレックスにもこんなに沢山のチラシは置いてないね。
現在上映分、次回上映分に今月上映予定分まであるのか全20作品くらいのチラシが並んでて嬉しくなっちゃった。
正直往復4時間は楽じゃないけど、それが悔やまれる作品でなかったのは幸いでした。
帰り着いた我が町は土砂降りが通り過ぎた後。
止みかけてはいたけれど時折、強い雨足。
丸亀製麺に寄って夕食を済ませて1日を終えました。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
2 件のコメント:
以前、息子がこの映画館のそばのアパートにいたので気になっていました。
いつか行こうと思っていたら、息子が
三駅先に引っ越したのでそれきりに・・・
私も同じ沿線にいながら、この映画館には、まだ。
何か、とても観たい映画があったのに、時間が合わず、それっきりに。もう少しちゃんとチェックしよう。
ついったで、フォローしてるはずなんだけど、
最近、見もしませんでした。
コメントを投稿