本日(10/28)の『どこかでラジオが』
(FM HOT 839にて23:00-0:00)
今日は気になる音楽実録映画『ハロー・アンド・グッバイ 父からの贈りもの』(原題:Greetings From Tim Buckley)について話します。
これは30歳の若さで亡くなったジェフ・バックリーと、同じく28歳の若さで亡くなった父ティム・バックリーの物語。
2012年作品で、ダニエル・アルグラント監督、主演がペン・バッジリー、イモジェン・プーツ。
親子モノは見逃さないことにしてる僕はこの作品にちょっとこだわりました。
何故って、この親子2人とも、全く知らない歌い手だったんだもの。
ところが、映画で描かれる息子ジェフ・バックリーのアルバムをアマゾってみたら父・ティムはアルバムが9枚も出てるし、ジェフも日本でソニーから大々的に売り出されていたんですね。
不勉強だったですワ。
そこで、この映画を紹介してみるというわけです。
主演のペン・バッジリーはアメリカのテレビドラマ『ゴシップガール』の狂言回し的主役の青年役で大人気になった若手。実は僕、ペン・バッジリーの演ずる下層階級のこの青年がとても好きで、このドラマ、結構ハマって見てたんですね。
ペン演じるジェフ・バックリーは生まれてすぐ、ミュージシャンの父に捨てられ、父になんの感慨も想い出も抱かぬまま生きてきました。
そこに突然、早世した父のトリビュート・コンサートへの出演要請。ペンはなんの意義も見いだせないまま、父の歌を歌わなければならなくなった新人ミュージシャン、ジェフ・バックリーを穏やかに演じます。
これが良い。
まるで、本物のライブのように撮られたコンサートシーンの中で観客である我々はひとりの新人アーティストが脚光を浴びる瞬間を体験することになります。
実は父ティム・バックリーはフォークソングのレジェンドを描く映画『ウッディ・ガスリー わが心のふるさと』の主役が決まっていたどこか見映えの良い男。ところがヤクの過剰摂取で死亡。伝説の中で生きていた歌手です。
その息子で歌心ある美しい顔立ちの新人ミュージシャンが初々しく人前に姿を現したらどうなりますか?
当然、大手レコード会社から手が伸びないはずがないわけですが、映画は音楽の中で時をこえて結ばれた親子を静かに見つめるだけで終わります。
ガツガツとしたスター誕生物語に持って行かず、コンサート・スタッフとのほのかな恋と別れで映画を終わらせたところになかなかの余韻があります。
静かな佳作です。
曲は
M①『River』(Tim Buckley)
M②『Grace』(Jeff Buckley)
M③『Lilac Wine』(Jeff Buckley)
こうした実録音楽映画で思い出したのが『Dear ダニー 君へのうた』。
2015年製作 監督:ダン・フォーゲルマン 主演:アル・パチーノ アネット・ベニング クリストファー・プラマー
自分の歌の世界がプロ歌手になることによって商業主義の中で否応なく変質して行くのではないか、と恐れているイギリスの新人フォーク歌手スティーブ・ティルストンのラジオでのインタビューをきいて、ビートルズ解散直後のジョン・レノンが手紙を書く。
「恐れることはないよ。君が心で感じるモノはお金なんかで変わりはしない」
だが、その手紙はティルストンに届くことはなかった。
ジョンが手紙をくれたことを知ったのはそれから34年後。
「この手紙は本当にジョンの自筆ですか? あなたのお墨付きが欲しい」
それはオークションでジョンの直筆手紙を落札したコレクターからだった。
その手紙を34年前に読んでいれば僕にはもっと違う歌手人生があったはずだ。
『Dear ダニー 君へのうた』はこの実話を下敷きに堕落した今もそこそこの客は集まるあるポップスターが34年の時を経て届いたジョンの手紙から間違いだらけだった自分の人生を修復して行くエンターテインメント性豊かな映画になっている。
こなれた作品でこれはこれで楽しい味わいがある。
最後のクレジットタイトルの途中で実話の本人スティーブ・ティルストンが顕れ、「もっと早く欲しかったなぁ、ジョンの手紙。僕はもっと違う歌が歌えたはず」と。
映画の中にはジョンの歌ばかりが効果的に流れるが、モデルとなったティルストンの歌は聴くことが出来ないので、探しに探してこの一曲。
M④『simplicity』(Steve Tilston)
日本人には好まれる歌声と作風だったと思います。
今日の選曲、ちょっと渋すぎるかも知れないのですが、是非、聴いてやって下さいまし。
さて、FMさがみ(FM HOT 839と改称)は、パソコンならサイマルラジオでお聴きください。http://fm839.com/
スマホではリッスンラジオ、 i-コミュラジオ、TuneIn Radioなどの無料アプリがあります。
アプリは一度ダウンロードしておけば、いつでも聴けます。
僕の場合はリッスンラジオに助けられることが多くなっています。ご自分のスマホと相性のいいアプリを試しておいていただくのが良いと思います。よろしくどうぞ。
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