2008年5月17日土曜日

AUDIO DAY DREAM


ゴミを出して郵便受けを見るとフィル・ステイシーのアルバムがアメリカから届いていた。
彼が本選の時、一番力を発揮したカントリー・ソングのアルバムでレーベルを見るとバッキー・コビントンと同じ会社だった。
ナッシュビルあたりでは高名なレコード会社なんだろうな。
これで『アメリカン・アイドル』第5&第6シーズンのファイナリスト6人のアルバムを買ってしまった。


『phil stacey』(Lyric Street)
第6シーズンの6位、フィル・ステイシーのデビュー盤である。
妻の出産と予選が重なったが、予選を優先してハリウッド行きを決めた青年だ。
僕はこの青年の役者みたいな変質者顔が大層気に入って最初から応援している競技者の一人だったんだけど、やっとデビューだ。
彼のために書かれた新曲ばかりなんだと思うけど、カントリー・ソングで個性を出すのはとても難しい。
上手く歌えていても、聞き終えるとどれがなんという歌だったか解らなくなることが多い。曲の趣向が似ているせいだと思う。
それでもレオン・ラッセルのようなロック歌手がカントリー・ソングに取り組んで見事な成果を見せたこともある。際立った個性としてはケニー・ロジャースの例だってあるしね。
フィルだって今の感覚で仕上げる力は充分持っていたはずだ。
曲調はなるほど新しいのだが、聞き終えた感じは昔からあるカントリー・ソングを歌ってみました、って感じで、特別な彼らしさを感じることは出来なかった。
何故だろう?
まあ、上手いので決してソンしたとは思ってないけどね。

『bucky covington』(Lyric Street)
第5シーズンの第8位バッキー・コビントンはノース・カロライナのロッキンガム出身。
有名な車のレース場があったんだけど、客の入りが悪くてレース場が他所に移った後は寂れる一方で、バッキーの活躍だけが町民の心の拠り所だとか。
双子だったと思うけどとにかくそっくりな顔の兄弟がいて、いかにも性格の良さそうな子だった。
「クィーンを歌う」の回で審査員評はむしろ良かったくらいなのに落ちてしまったが、とにかくこの子のデビュー盤は買ってやろうと思っていた。
仕上がりはフィルと同様カントリー・ソングなので突出した出来ではない。

『ELLIOTT YAMIN』(Hickory Record)
エリオット・ヤミンは第5シーズン第3位。
堂々たるものなんだが、競技の最中からこの青年に傑出した上手さは感じなかった。
TOP9あたりから常にBottom 3に入っていた印象があったほどだが、不思議な底力で勝ち抜いた。
若年性糖尿病かなんかでひどく苦しんだ過去を持っていたと思うが、優しげな青年で誰もが応援したくなる個性だった。
このアルバムはラストの『ソング・フォー・ユウ』くらいしにしか彼らしい上手さは感じることが出来ないんだけど、全体的にはまとまりが良いと言えるかも知れない。
インディーズ史上最高の売れ行き、ってのはどういう記録なのかな?
よく解らない。
※と書いたあとで『ビルボード』のチャートをあたったら、昨年「インディーズ・アルバム」部門で1位にランクされ、シングル『Wait for You』はPopチャートの5位まで上がったんですねぇ。
大したモンだ。

『DAUGHTRY』(RCA/日本ではBMG)
エリオット・ヤミンに負けて第5シーズン第4位に終わった時は会場中が驚き、審査員も驚き、本人が一番驚いた。
大絶賛の中での敗退だったからだ。
クリス・ドートリー。バンド名を「ドートリー」としてデビューした。
第5シーズンではこの青年だけが圧倒的な声の艶とテクニックを持っていた。
ひと声聞いた瞬間に「ウメェ!」とうなる歌声で、レコーディングしたらあれよあれよという間にアルバムが150万枚。それが去年2月のことで、実は今週もまだ27位。ビルボードのアルバムTOP50に77週連続チャート・インしている。
08年度のグラミー賞では最優秀ロックアルバムの候補になっていたが小さな賞をひとつ貰ったくらいで終わったような気がするが、このアルバムは一種の名盤だ。
予選の時、彼のおかみさんが言った。
「彼は子持ちのあたしと結婚してくれた優しいひとなの。彼は歌をあきらめた。でも、アタシは夢が叶った。今度は彼に夢を叶えて欲しいの」
まさしくアメリカン・ドリームだ。それも超弩級の!

『BLAKE LEWIS /AUDIO DAY DREAM』(ARISTA/日本ではBMG)
ブレイク・ルイス。第6シーズンの第2位。
ラブレターの表に書いた恋人の名前より、ブレイク・ルイスという名前を書いた回数の方が多いかも知れない。
去年、そういう惚れ方をした。
手術に臨む前の半年間、体調は最悪だったが、彼の歌声を聞くだけでずいぶん助けられた。
なんだろう? なんだか気に入ってしまったのだな。
選曲のセンス、自分のスタイルへのこだわり方、圧倒的なものは何一つ無いが僕が一番くつろげる種類の声質。
テレビというメディアに出遭って以来、こんなにテレビで会うのが楽しみだったタレントはいない。
アルバム自体は騒ぎにならないかも知れないが僕はこれが大のお気に入りだ。
こんなに気に入ったのもデミス・ルソス(元アフロデティス・チャイルド)以来かも知れない。デミス・ルソスだって日本で人気が出たことはなかったわけで、イイさ、僕はそういう趣味なのサ。

『jordin sparks』(JIVE Record/日本ではBMG)
第6シーズンのウイナー、ジョーダン・スパークス。
初めは目立つところが全くなかったが、回を追うごとに上手くなっていって、ついに1位候補だったメリンダ・ドゥーリットルを追い抜いてしまった高校生。
優勝をかっさらった勢いのままレコーディングしたこの一枚は実は現在アメリカで流行ってる歌をパクリにパクった感じがするくらい耳慣れた曲調が多いのだが、この子の上手さはただごとでない。
アルバムは既に50万枚を超えたという。それだけの勢いはたしかにある。
『No,Air』(ビルボード最高位3位)『Tatto』(ビルボード8位)『This is My Now』(同15位)などが1枚のアルバムからシングルカット。

みんなの次のアルバムが楽しみだ。
メリンダ、クリス・リチャードソンらを早く聴きたいものだが…。

1 件のコメント:

花豆 さんのコメント...

ハイ!メリンダのデビューを待ってる一人です。

ブレイクくんとは出会う運命にあったのでしょうね。
そんな風に夢中になるって、幸せなことですよね。

フィル・ステイシーの「変質者顔」とか
サンジャイヤの「腹ペコ唱法」とか
店主様の形容にはいつも感心します~。

イギリス版A.I.(本家?)の優勝者が
来日していましたね。話題のポール・ポッツも。
ブレイクも可能性ありますよね。