2015年11月14日土曜日

11/3(火) 神奈川芸術劇場『21世紀の上を向いて歩こう

今日は横浜中華街から間近い「神奈川芸術劇場」に来ている。
『21世紀の上を向いて歩こう』というコンサートでLittle Glee Monster という上手いと評判の少女6人組が『涙をこえて』を歌ってくれる。
このコンサートのために詞の一部を書き換えタイトルも『涙をこえて~Re-born』となった。
大友良英スペシャルバンド、二階堂和美、福原美穂さんなど4組が中村八大さんの作品集を演る。
この頃、八大さんの作品を見直す機運が高まっているのか、この10日で2回聞くことになった。
『夢で逢いましょう』で発表した以外の楽曲も沢山ある八大さん。
プロデューサーは『こんにちは赤ちゃん』の赤ちゃんその人である中村力丸さんである。
アッと驚く選曲を期待しているが、さて…。

大友さんはご存じ『あまちゃん』のテーマ音楽で知られた作曲家だが元はフリージャズの作曲家、ギタリストとして知る人ぞ知るアーチストだ。
東南アジア各国で映画音楽家としても知られていたらしい。
山下毅雄さんや八大さん、そしていずみたくさんやクレイジーキャッツの音楽も好きだったとwikipediaにあるのでテレビっ子だったのかもしれない。
オープニングは本領発揮のフリージャズで
①21世紀の「上を向いて歩こう」(大友良英スペシャルバンド)
先行きがどうなるのか全く読めないオープニング。
なんかウキウキしてくる。
しかし、2曲目からは永六輔作詞・中村八大作曲の『今月の歌』が大きな売り物だったバラエティ番組『夢であいましょう』から
②夢で逢いましょう(二階堂和美)
③あの娘の名前は何てんかな(二階堂和美)
が順当に選曲されている。
「あの娘の名前は…」は九ちゃんによるコミックソングで『夢あい』の出演者、中島弘子、坂本スミ子、黒柳徹子や、渡辺プロの美佐社長、九ちゃん所属のマナセプロの社長や、田代みどり、森山加代子などとにかく当時の少年少女たちがみんな知ってる名前をいろいろ呼びかけるが返事がない。なんと「あの娘」はマネキンだったのサ、という落ちがつくナンセンスソングなんだけど、ちゃんと作品になっているところにこの歌が愛された理由がある。
しかし、丸山明宏さんが歌ったという次の歌は記憶から完全に欠け落ちていた。
④誰に(二階堂和美)
曲は『Take 5』にクリソツ。
ちゃんとスタジオ写真にも丸山さんが映ってるから間違いないのだが、この歌に全く記憶がない。
面白かった。
面白いと言えばMCは大友さんがつとめているのだが、これが抜群の上手さ。
流暢なのでなく、放っておくと止めどなく続いてしまいそうな、と言って饒舌とも違う、笑いの勘所をしっかり抑えた奔放さなのでほぼ満席の客席からは笑い声と共に拍手も起きる。
思わず笑っちゃう、どこか愛らしいエピソードが混じったりする。
さて、次に登場したのは平均年齢16歳の「最強歌少女」たち、Little Glee Monster。
まずは挨拶がわりの1曲がなんとアカペラによる
⑤yesterday(Little Glee Monster)
と来たもんだ!
イヤー、驚いた。ホントに上手いんだもの。
⑥君が好き(Little Glee Monster)
⑦涙をこえて(Little Glee Monster)
「学校の音楽コンクールで2年前に歌った」とか言いながら歌ってくれたので嬉しくなっちゃった。
そして、ラストもアカペラで
⑧遠くへ行きたい(Little Glee Monster)
ま、見事なハーモニーです。
嫌みのない歌唱ですんなり心に届いてきました。
3人目のシンガー、福原美穂さんはなんとレゲエのアレンジで、北島三郎さんの名曲
⑨帰ろかな(福原美穂)
を。
続いては江利チエミさんの
⑩私だけのあなた(福原美穂)
を。
実はこの歌もまったく耳馴染みがないが、なんとも切ない恋歌。福原さんの歌唱が冴える。
そして、ついに
⑪上を向いて歩こう(福原美穂)
なのだが、オノヨーコの英詞で披露。
試みは面白いのだけど聴き手はちょっと落ち着かなかったと思う。
オリジナルは水原弘のB面ソングだがちあきなおみのカバーヴァージョンが知られる
⑫黄昏のビギン(二階堂和美)
は、どうも2コーラス目を八大さんが作詞したらしい。
映画の中で使うため元は1コーラスしかなかったので、レコード用に八大さんがどうも書き足してしまったらしい。
道理で永さんは「作曲は天才だけど作詞家としては三流」なんて言ったりする。
ウン、僕にも八大さんが詞を書き足した作品があるんだけど、それがテレビやラジオで流れている時、上を向いて歩けなかった。
次は
⑬笑点のテーマ(大友良英スペシャルバンド+二階堂和美)
で二階堂さんが「パフッ」を担当。見事に決めました。
そして、これだけが青島幸男作詞となる
⑭明日があるさ(全員)
とにかく明るくなれるのが良いね♪
オーラスは八大さんの作詞、作曲、歌、という異色作を大友さんのソロ、出演者全員のコーラスで
⑮太陽と土と水を(大友良英)
合歓ポピュラーフェスティバルで地元の子供たちを従えた八大さんのこの作品は商業的意図をまったく排除したシンプルで美しい歌だった。
フェスティバルでは特別賞を受賞したのだったと記憶する。
レコードは持っているので一度番組で掛けてみたい。
今でもこの歌の持つメッセージ性とシンプルな美しさの価値は変わっていないと思うし、むしろ今の方が素直に人の心に届くかもしれない。
さすが八大さんのファンを自認する大友さん、思わぬ佳曲を選曲したものだ。
感心した。
そしてアンコールは、初めてオリジナル曲に近いアレンジで
⑯上を向いて歩こう(アンコール/全員)
ホッとしてThe End。
まことに心地よいコンサートでした。
写真はポスターと出演者達。
真ん中左が福原さん、右が二階堂さん、それを囲んでLittle glee Monster。



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