2008年9月4日木曜日

ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイアモンズ

真鍋かをりさんという女性タレントに何も感じたことはなかったが、今日初めて僕の触覚をふるわせるものがあった。
角界大麻疑惑。
この問題が出てきた一昨日以降、僕はみのさんの番組以外のすべてのニュースショー、ワイドショーのコメントに耳をそばだてようとした。
それでも見逃しがいっぱいあるので、断言は出来ないが、僕が見たどの局のニュースキャスターも、どのワイドショーの司会者もそのアシスタントも、そしてこの問題を扱った全番組のどのコメンテーターも言わなかった、でも日本中の視聴者が誰も感じていたひと言を言ったのはただ一人、真鍋かおりさんだった。
そして、その言葉を受けての小倉智昭さんのコメントも真っ当な人の反応だと感じた。

9月4日(木)午前8:00~ のCX系情報ワイド番組『とくダネ!』。
彼女はコメントした。

若の鵬の大麻疑惑が大騒ぎされている時に、一番疑われやすいロシア出身の力士が、わざわざこの時期に大麻吸います?

露鵬、白露山兄弟の大麻疑惑が流れた時、日本中の相撲ファンが感じたのはこれに尽きたんじゃありません? 
だって2~3日前まで吸っていないと出ない反応だというのだもの。
間抜けなのは相撲コメンテーターだ。

弟の白露山は真面目だが、兄の露鵬はキレ易い。

なんだ、ソレ?
二年前、露鵬が千代大海に突き出しで負けた際、勝負がついているのに客席にまで突き落とされたことを怒って露鵬が千代大海にガンを飛ばし、一触即発になった事件が例に上げられた。
それについても僕は以前に書いたが、僕がみのさんの番組を今回見ない理由は二年前のそのニュースで「見てよ、このワルそうな顔」と露鵬の写真を手で叩いたか、指で弾いたことがあるからで、今回、鬼の首を取ったように語るであろうことが容易に想像できたからだ。
ちなみに露鵬の事件は、千代大海との取り組み後、怒り狂って、風呂場のガラスかなんかを割り、険しい形相の彼を撮ろうと支度部屋のドアの前でチャンスを狙っていたカメラマンと記者に暴行を働いたというモノだ。
彼には「出場停止3日」の処分が下された。
だが、相撲ファンは地位が上の千代大海の振る舞いにも厳しかった。
出場停止が解かれた日、客席から期せずして「露鵬コール」が巻き起こり、ソレも大々的に報じられたのだが、みのさんはそれについてはスルーした。

よくあることで僕は驚きもしないが、近年、ニュースもワイドショーも権力と大衆へのおもねりが目立つ。
日本の肩を持つか、外国の肩を持つかの選択に迫られたら、番組出演者たちは迷わず日本の肩を持つ。

「洋画の字幕が読めない若者が多く、吹き替え版が増えている」というニュースがあった。
それに関しては「外国でも吹き替え版の比率の方が増えているんですよ」というコメントが、この頃大勢を占め始めている。
ここでは日本の若者への媚びが売られている訳だ。
ハッキリ言おう。バカに媚びを売ってどうする気だ。テレビは飾り窓の女か!
少し上品に言ってみました。ホントはもっと品の悪い言葉を使いたいが…。サノバビッチ! とか? イヤ、もっと下品な日本語で…。

たとえばアメリカでは多くのメキシカンのためにスパニッシュに吹き替えるのね。
『ウエストサイド物語』のリタ・モレノも声の吹き替え仕事をしてたのよ、
とか、
国民皆教育も日本ほどじゃないでしょ?
字幕を読む能力が最初からないわけだから吹き替えじゃないと映画も見らンないのよ、
とか、
キャスターさんたちにはそんな説明もしておいてやらないといけないんですかねぇ。
日本では一応読み書きの充分な教育がなされているんだから吹き替えのサービスなんて文字からインスピレーションを得られなくなったバカ餓鬼向けでしかあり得ないじゃないの!
「餓鬼」ったってホントに子供ならまだしも、その中心は2~30代の人たちなのよ。
ってこんなこと何度も(ホントに3年くらい前から何度言ったでしょうね)言わせるなよ、って話サ。
でもね、

裁判シーンでの台詞「保釈だ」
お茶の間の反応「何、”保釈”って」

って、現実はこんななんだから吹き替えにしたってそれほどの効果はないと思うよ。
吹き替えを云々する前に基礎学力が足りないんだから、これが読めないなら、お前には映画を見る資格がない、とか、字幕も読めないなんて恥ずかしいことなのよ、不法移民のメキシカンじゃないんだから、って思わせてやらないと、映画芸術そのものが衰退して行くと思うけどね。

まあ、そんな訳で露鵬の肩を持つより、しつこすぎる日本人カメラマンの肩を持つ方が身びいき日本人の大多数の賛意が得られると踏むのは売れっ子の嗅覚だから、テレビに出ている旬の人たちはみんなそうする。
だからみのさんばかりを責めはしないけど、見なくても今回の彼のコメントは読める(つもりだ)。

こういう日本に充満してる空気の中で高見山から始まるハワイ勢は闘い、今また琴欧洲や黒海、露鵬兄弟らヨーロッパ勢は奮闘してる。
マスコミも味方してくれず、琴欧洲が横綱に王手か、なんて「金」の匂いがし始めた時だけ、群がってチヤホヤするのサ。
「身体が大きい」のでなくただ「太っている」だけの日本の中卒の子供たちと彼らは違うので、マスコミのそうした差別感を敏感に察している。
だから、支度部屋の壁を怒りで蹴破るのサ。
もう、いい加減、その辺の事情くらい判ってやれよ。
まあ、判ってても琴欧洲の悪口書く方が記者として楽なのよね、多分。
そういう姑息な理屈の中でスポーツマスコミ(に限らないけど)は小っちゃく小っちゃくなってきたのよネ。

ま、贔屓の引き倒しにしかならないので多くは語らないけど、北の湖さんの言う「すべてはそれぞれの部屋の問題。親方の責任です」はその通りです。
「北の湖」さんが「北の湖親方」となったいきさつなんて涙なくしては語れない。
このかつての大横綱は身体がボロボロになっても現役から引退できなかった。
親方株を貸してしまっていたからだ。
返却を迫れば借りている親方は「廃業」するしかなくなる。
北の湖さんは黙って必死で相撲を取り続けた。
そのことにやっと気づいた彼の親方が奔走して、横綱北の湖に一代年寄の報が届けられたのは引退当日の朝だったという。
悪いけど日本の相撲マスコミはそんなことひと言も報じなかった。
「北の湖引退間近」と気づいて『父ありて』というテレビの企画書まで書いていた僕がそれを知ったのはそれから数年後、作家もりたなるおさんが書いた『北の湖凍る』という相撲小説で、だった。
知ってたら僕は企画書を書かなかったかも知れない。可哀想で。
そんな訳で日本に相撲ジャーナリズムはハナから存在していない。
テレビの中で一億層評論家風に北の湖退陣待望論を語られると僕は涙が止まらない。

相撲は一門制で北の湖さんは相撲界最大派閥の出羽一門にいる。
「大派閥」に救われて土壇場で「一代年寄」の名跡が手に入れられたとも言えるし、だから現在理事長なのだが、苦しみに苦しみ抜いて引退を決意するまで、誰も手を差し伸べなかったのもまた「一門」である。
北の湖さんが頑固に言い張る「部屋の問題」「親方の責任」に彼の相撲界に対する恨みもつらみも、そして感謝まですべてが含まれている。
その小さい範囲に収めておかないと北の湖さんの哀しみ苦しみには果てがなくなる。ただ、広げてしまわないと相撲協会の改革への道は見えてこない。
つまり、北の湖さんには改革は出来ない。
相撲協会の体制や体質が前近代的と言うより「反現代」的なのは北の湖さんの責任じゃない。
旧弊な世界でひたすら努力して、努力すれば結果はついてくると12歳から教えられてひたすら頑張り、それを実現してきた北の湖さんに、この体質は壊せない。
彼は旧弊さを窮屈とも不都合とも感じていないはずだ。だって、彼にしてみれば「努力すれば夢は叶う」ってことなんだし、事実、それを実現してきた人なんだから。
元々凡人でない人に、今、急に凡人になれ、ったってそれは無理だろ、と僕は思うけど、そう言ってる場合じゃないことも僕には判ってる。僕は凡人だから。てことは北の湖さんにこの発想は出来ないんじゃないか、と危惧もしてる、ってことになるんだけど。

北の湖さんは1985年から86年初場所にかけて土俵から降りたくても降りられなかった。
でも今度は実は簡単に投げ出せる状況が整っている。
誰も北の湖さんの理事長続投を願っていないからだ。
でも、北の湖さんはあの時と同じように頑張って頑張って頑張って問題に取り組んでいれば最悪の事態は何とか避けられるのではないかと思っているような気がする。
でも、多分、今度はどうにもならないかも知れない、と僕は悲観的な気分に支配されている。

北の湖セクハラで告発さる。
そんな記事の躍った数年前から僕は相撲界に北の湖理事長失脚を画策するグループが存在するようなイヤな空気をずっと感じている。
単なる憶測。妄想かも知れないけどね。
もしかするとそこには外部の人間も絡んでいると思うんだけど、この頑固一徹などう見ても堅物の理事長にはピンクスキャンダルも似合わなければ、そのご本人の部屋から「師匠の責任」をわざわざ問わせるようなロシア出身力士の大麻疑惑。
悪いけど、あり得ねべサ。陰謀以外にヨ。

そして北の湖さんみずからが「再発防止委員会」とかに言ったという「疑惑が確定しない内に何故、記者会見しちゃったの?」は視聴者の誰もが感じてる疑問だよ。
やくみつるさん。
相撲を揶揄するのはあなたの本職だけど、こういう時は誰もが感じる疑問をあなたも持って、もっとマシなコメントして。
北の湖さんの理事長としての資質を問う前に、理事長の部屋から疑惑の力士が出ているのに、理事長を蚊帳の外に置いたまま記者会見させたあなた方委員会の意図を聞かせて。
今回、あなたも口にしたと思うけど、「相撲協会を揺るがす大問題」は、あくまでも今回に限ってだけど、実はあなた方の手によって増幅された部分もあるんじゃないの?

まあ、若ノ鵬については前々回の『本日の店主』で名前を挙げてないように、力士としてまだ認知していない人だった。
美男なので十両に上がってきた時にすぐに気づいてはいたけど、一応、相撲マニアの僕は美男ってだけでは出世期待リスト、評価定着リストには加えないので。スマンね。

ともあれ「横綱」、特に「北の湖」にリスペクトのない人に何かモノを言って欲しくないんだよ、僕は。こんな言い方に無理があるのは承知だけどね。相撲とブレイク・ルイスに関しては無理を承知で言うことにしてるんで。

何かを作り上げることをせず、壊すことだけに腐心してきたある世代以降は、何でも「一回全部壊しゃイイんだよ」てなことを安直に言うのだけど、その時、壊した後のプランが添えられていれば僕もうなずくのだけどな。

ま、今朝は真鍋かをりさんに拍手、ということで…。

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

私も同じ印象を受けました。ワイドショーは見れませんでしたが、(みのさんは裏づけののない暴言が多いので普段も彼の番組は見ない事にしています)サイトで調べると鳥越さんも同じ意見でした。あんなに堂々と副引も否定されているのに、疑惑は本当だろうか?若ノ鵬と兄弟のように交際していたから先入観があったのでは?は、何より簡易検査で警察が乗り込んでくるなんて、そちらに丸投げですか?
もし、シロであればどう謝罪するつもりでしょう?
元貴闘力親方は素敵でした。結果が出るまでは弟子を守る姿は本来の親方の姿。
理事長については、店主さんの仰ることはあるかもしれませんが、私は人が亡くなったのに(昨年の件)辞職しない理事長は支持できません。親方が悪くてもその上に立つ方です。大きな存在だから辞職する価値があります。
若ノ鵬の件もおかみさん、部屋付親方不在、親方病気では一門の責任、理事の指導責任はあるはずです。強くしていただきたかった。公益法人なんですから。
相撲ジャーナリストさんのブログを拝見していると、部屋の数が多すぎてパワーとハングリーさを兼ね備えた外国人が早く出世して筆頭になってしまうケースが多く、他の力士との交流の架け橋になってくれるような兄弟子がいない場合、ロシア勢のように同胞で固まってしまったとか。
露鵬は見かけとは違って神経細やかに世話を焼くので、みなが慕っていたそうです。若ノ鵬にも「強くなることと日本語を覚えることは同じ」とアドバイスしたりする好青年と書いてありました。一般のスポーツ記事とはまるで違います。ファンもとても多いようです。

彼らの潔白を祈りたいと思います。