2009年10月22日木曜日

Blake's hind legs story

Blakeは雨ざらしの犬小屋で育った。
元は物置だったような(といっても田舎の物置は家1軒分だが)、小屋の下に5つの犬小屋が距離を1~2メートルずつ離して置かれていた。
彼らはそれぞれに繋がれていたが、彼らの間では当然、犬同士の情報交換があったと思う。
だが、彼らは繋がれたままだから実地体験には乏しく、彼らの常識にはちょっとした欠落もあったのだと思う。

Blakeの「常識」ははなはだ「非常識」である。
彼は「なんのために」そのことを行うのか知らぬまま、見様見真似でモノを覚えてしまった。
典型的なのがオシッコした後、後足で砂をかける動作。
どうも彼の頭には、「犬の行動形態には後足で砂をかける動作というモノがある」ということしかインプットされていない。
なので彼はオシッコをしようがウンチをしようが、時には出なかったり、しなかったとしても、とにかく「後ろ足で砂をかける」のである。たとえ、それが「砂」でなくとも、野原の草でも、敷石道でも、歩道でも、とにかく「思いっきり」蹴る。

「砂をかける」勢いについても無知である。
加減を知らないので何度もやる。時々砂利道では小石も蹴り飛ばす。自分の鼻を小便やウンチに向けて、後足で蹴る。つまり彼の行動は本来の役目を何も果たしていない。
用を足した後の儀式として「後足で蹴る」のだが、後足ばかりか前足も蹴るので、「お前は穴を掘りたいのか!」と思うほどだ。多分、僕以外の人には「穴を掘っている」様にしか見えないと思う。
僕は散歩の度、苦笑し、時に笑い転げてしまう。
犬たちの情報交換は彼にとって、ことほど左様に何の役にも立っていなかったのだ。

散歩の際の「自分勝手」は相変わらずである。
軍手をして手綱を持とうが僕の手は擦れて、正直言うと感覚のない関節がある。
凄い力なんである。
極端に言えば、歩き方も、綱の引っ張り具合も常軌を逸している。
狂ったように臭いを嗅ぎ廻り、走っては止まり、嗅いでは自分もし、自分のした臭いをまた嗅いで、その匂いにまた、自分でし、自分でし、自分でし、くどいくらいだ。
おまけに自分の匂いでまた尿意を催すのか、とにかく、し、やっと歩き出すと、つぎは「ハアハア」と荒い息づかいで手綱を引っ張る。
荷馬車を牽いてる牛のように、首輪がのどに食い込んで、ゼイゼイ言いながらも、とにかく引っ張る。
僕は思わず『ドナ・ドナ』が歌いたくなってしまう。
方向は自分で勝手に決めていて、信号が点滅していようと、電車の警報機が鳴っていようと僕を引っ張って行く。

あと何ヶ月かでBlake との散歩は出来なくなると思う。
怒っても頭を下げるのはその時だけで、「サ、行こう」といった途端、元の木阿弥。猛然とダッシュする。そして、ムリムリッと怒りのウンチ。なんでかバカに臭い!!

ところがこの自分勝手なBlakeは家に戻った途端、別犬と化す。
腰を下ろした僕の隣に座ると全身でもたれかかるBlake。
股の間に入り込んで、太ももに身体全体で座ろうと試みるBlake。
雄犬だというのに誰にも出したことのない甘え声でご褒美をねだるBlake。
他犬の小便の跡を嗅ぎ廻ったり、舐めたりした鼻とベロで僕にキスしようとするBlake。
とにかく僕が彼の見える場所にいる限り、四六時中、まとわりついている。
僕と僕の家全体はそんな訳で目下、犬の毛だらけ。
さんがつサンには身の毛もよだつ光景かもしれない。

ちなみにペディグリーチャムにまぶしたドライフードは今日もドライの部分だけ食器に残されている。
彼は食事を出しても「ドライはイヤだと言っただろ」と僕に意思表示した手前、すぐには飛びつかず、僕が見ている間は絶対箸を出さない。箸は無いから、手をつけない? ン、手でも喰わんか。
ま、とにかく喰わない訳だが、僕が他の用事をしている間に、時には全部ペロリと、時には肉の部分だけ、きれいに食べている。
つまり、僕の見ていない間に、だ。
姑息だ。姑息だが可愛い。

うーん、毛玉に絡め取られてる。あ、イヤ、手玉に。

3 件のコメント:

ainapooh さんのコメント...

ドナドナの歌詞(安井かずみさんの訳詩)は悲しすぎます。でも、Blake君に市場へ引っ張られていってるのがかぜさんという設定なら・・・面白いです。おしっこの砂かけ、多分 ワンコの場合、ニャンコと違ってちゃんと始末するっていう意味のモノじゃないと思います。まぁひとつのセレモニーっていうか。ハックショーーン!の後に「ちきしょうめ」と決まり文句のように言うという(確証ナシですが)江戸っ子のように、おしっこしたぞぉ~い、コンチクショウ!ってな感じで威勢のいいとこ見せてるんじゃなかろうか・・・?あくまで私見ですがね。
ブレイク君、食べ物(トリーツ系)に半端無い執着があるならそれを利用してうまくマニュピレートできるんでは?恋も駆け引きですからね~こういうの不得意分野でしょうか?
HIND LEGSって後ろ脚のことなんですね。初めて知った。be・hindのhindかな?ならbe・foreのfore legsが前脚ってことも納得です。と勝手に分析ですが、ひとつ単語覚えました。
ブレイク君ニュースはホント楽しみです。

匿名 さんのコメント...

>Blake君に市場へ引っ張られていってるのがかぜさんという設定なら・・・面白いです.
ainapoohさん、イッポン!!

かぜさんのおのろけ、楽しいデス。

LIMIT さんのコメント...

こんばんは、店主さま。

力の入った散歩っぷりが目に浮かびます。
Blakeくんが、超大型犬のようにも
見えますね。
いっそ、背中に乗せてもらった方が
お互い楽なんじゃないかと…(冗談です)

犬の毛取り用に、コロコロ!
粘着テープでゴミを取るやつです。
アレは便利ですよ。
もしまだお使いでなかったら是非!
掃除も洗濯も、少しは楽になります。
あと(私は好きじゃないけれど)
犬に服を着せるという手もあります。
犬用の服ってオシャレだけじゃなく
抜け毛対策の効能?も
あるそうです。
でも、犬用の服のお洗濯が大変かも。

手綱をリードではなくて
ハーネスタイプにしたら
店主さまも少し楽になるかもしれませんね。
喉も締め付けないからゲホゲホしなくなるし。

気長に… 愛情を深めていってください。
もう Without you なんですよね!